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2009年10月31日

白い巨塔〈第4巻〉山崎 豊子

白い巨塔
白い巨塔は本当は第三巻で終わるはずだった。
財前五郎が医療裁判で勝ち、里見が大学を去る。
患者は医療が患者から程遠いものであることを認識して泣き寝入りし、弁護士は医療裁判の難しさを知る。これが本当の結末であった。

しかし・・・

社会的意義の大きさと作者は社会的責任を果たすべきだという読者の意見により、一年半の間をおいて続編が発表されたのである。それが第四巻と第五巻である。内容的には患者が控訴し、裁判自体は続く、そして里見は癌センターで研究を続けることができた。そして財前は更なる野望を抱くことになる。学術選挙に立候補したのだ。こうして財前は学術選挙と裁判の両方で勝利を収めることを決意する。

人間の欲望には限りがない。一旦名誉を得るとそれ以上の名誉を手に入れようとする。そしてそのためには手段を選ばない。しかし、財前自身が周りの人間の名誉欲を満たすために利用されていると気づいたときには、欲望の渦に翻弄されていたのである。


白い巨塔〈第4巻〉 (新潮文庫)

ラベル:山崎 豊子
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2009年10月30日

白い巨塔〈第3巻〉山崎 豊子

白い巨塔
ドイツを初めとした欧米外遊から帰国した財前教授は佐々木氏遺族から裁判所に訴えられていることを知る。医学的根拠で誤診を認めない財前側。医者と患者の両者の関係上、懇親丁寧に診てくれたかどうかを裁けと主張する遺族。判決は遺族側の賠償金請求を認めず、その理由も法律的に誤診と帰納する医学的根拠がないから―。遺族にとっては真に遺憾な判決になった。
 そして原告側の証人として財前側にとって不利な証言をした里見助教授。彼はあくまでも患者の生命を尊み、己の信念を貫き通した。

里見とその妻が会話する場面でこんなくだりがあった。「学問的業績に埋もれた医学者であることより、無名でも患者の生命を大切にする医者であることを選ぶ。」と里見がいう。妻は教授になって医学者として余生を全うして欲しいのに、「なぜ学問をそんなに軽々しく扱い、学問以外のことで挫かれるのです?」と里見の信念を理解していないようであった。

里見は確かに正しい。でも綺麗すぎる。彼の家族のことを考えると大学に居残ったほうがずっと為になるし、研究も続けられる。それが賢明な選択なのだ。でも里見には賢明な選択というのがわからない。物語は正義に燃える男が結果的に損してくことになり、実社会の残酷さをリアリティーに伝えていて面白い。里見の苦悶もまたなんとも言えず哀れである。

3巻は裁判所での尋問応酬が激しく、新鮮味があふれ飽くなく読めた。しかし山崎豊子の医学的知識にはほとほと感服する。事前にどれだけの医学・裁判関係者と打ち合わせしたのだろうと思うと彼女の作品に対する想いが並ならず、感心する。

白い巨塔〈第3巻〉 (新潮文庫)

ラベル:山崎 豊子
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2009年10月29日

白い巨塔〈第2巻〉山崎 豊子

白い巨塔
財前五郎は俺が今まで読んだ山崎豊子の「沈まぬ太陽」や「不毛地帯」の主人公である恩地や壱岐とは違い、正義感というか行動力と実行力でグイグイと引っ張るタイプ。

助教授である財前は東教授が定年退職のため、時期の教授選に立候補する。教授になるという金、実力を超えた名誉が彼に確たるポジションをもたらすという世界。

裏金、権力、地位、噂が罷り通る中、尊い人命を救うという立場にある医者は、果たして本来どうあるべきなのか?を思慮しながら読み進めた。

第1巻の導入部を受け とうとう第一外科教授 財前吾郎の誕生 そして物語が動き出す。。。
って感じなはずが 結構モタモタした印象が強い

教授選のあれこれの描写が結構長く これはこれで映像になれば見所にもなるのだろうけど
登場人物のプロフィールを浮かび上がらせる目的なのだとしたら 多少煩雑かな?
もっともこの作家 一事が万事そういう傾向があるにあるから 結果として物語に奥行が与えられるのなら多少は仕方ないかとも考える
ともかくも 第2巻を一冊の本と考えて評価すれば
教授選のエピソードと その後の主人公の驕りぶりくらいが描かれるだけで そうだな。。。第1巻と合わせ長い長いプロローグを読まされてる感じ

加えて ここまで行を割いて描いた登場人物たちがいまひとつ魅力に欠けるんだなぁ
ピカレスクロマンなら これでいいのかも知れないけど
出てくる人物 誰も彼もが「小悪人」な印象なので エピソードを重ねたことで却って存在感を損なってしまった感もある
しかし裏を読めば 登場人物が多いだけで 実は大学病院権力の闇(あるいは病み)をひとつの大きな存在として描くのが作者の狙いだったとすれば 全く失敗しているとは言えないけれどね

あっという間に読めるほど構成的には練れているし 多少の古臭さはあるにせよ巧みな文章でそうとは思わせないところが憎いけど
「ひょっとしたら作者は当時この先のストーリーをちゃんとは決めずに書き進めたのかもなぁ」 なんてちょっと穿ったことも考えてしまった 

白い巨塔〈第2巻〉 (新潮文庫)


ラベル:山崎 豊子
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2009年10月28日

白い巨塔〈第1巻〉山崎 豊子

白い巨塔
浪速大学医学部第一外科財前助教授は噴門癌のスペシャリスト。次期教授になるはずだったが、東第一外科教授との不和より、対立候補との教授選にあらゆる手を使って、勝とうとする財前助教授。大学病院の閉鎖的な環境を「白い巨塔」と揶揄する、山崎豊子の文体が素晴らしい。


登場人物たちはみな なにかに取り付かれて物語に関わってくる
それはドラマなどで強調されたように「権威」「権力」に対するものなんかだけではなく
「自分の生き方」にだって「父親への反発」にだって「研究への意欲」にだって
それが他人から見てみっともなかろうが 好意的に捉えられようが それは執着する本人には全くと言っていいほど関係なくって。。。
その事実 周囲には無頓着になっていく描写に ひとの滑稽さと怖ろしさを感じた

まだまだ物語はトバクチである 完璧な導入部というにはあまりに本筋に触れていない
しかし予感というには大きすぎる期待をもって読み進められるはずだ


国立大学病院の教授選や医療過誤による裁判などをめぐる人間模様を通して、本来であれば医師はその社会的使命である医療行為に全身全霊で立ち向かう存在でなければならないが、本人が望むが望まざるとも関係無く、人間社会には常についてまわる権力への欲求や到底正義とは言えないことなかれ的な小さな常識、いわゆる“この世の矛盾”の中で誰しも生きていかざるを得ないという人間ドラマを著わした社会派小説。

p217「われわれ(医師)は医療法によって誇大広告を禁じられ、ほかの職業のように、勝手に広告宣伝するわけにはいかない」


白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

ラベル:山崎 豊子
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2009年10月27日

沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) 山崎 豊子

沈まぬ太陽
利根川総理、竹丸副総理、十時官房長官、
そして道塚運輸相。
実在の政治家を簡単に想像できる
登場人物が次々と登場。
こういうの結構、好きです。
ところが、日航、いや国民航空の役員も
ほぼ全員、実在のモデルがいるとは・・・。
アフリカ編からこの会長室編まで、
ほぼ2か月にわたり新聞連載を読むがごとく、
時間をかけて読みました。
非常に楽しめたんだけど、
いくら「フィクション」とうたっていても、
これだけリアルだと
(かなり事実と違う部分もあるようですが)
書かれた当事者はたまらんだろうなとも。
そして恩地の永遠のライバル、行天四郎。
唯一、実在のモデルがいない登場人物らしいけど、
ウィキペディアによると
「行天四郎=白い巨塔の財前」という説があるとか。
なるほど。

利根川総理、竹丸副総理、十時官房長官、
そして道塚運輸相。
実在の政治家を簡単に想像できる
登場人物が次々と登場。
こういうの結構、好きです。
ところが、日航、いや国民航空の役員も
ほぼ全員、実在のモデルがいるとは・・・。
アフリカ編からこの会長室編まで
非常に楽しめたんだけど、
いくら「フィクション」とうたっていても、
これだけリアルだと
(かなり事実と違う部分もあるようですが)
書かれた当事者はたまらんだろうなとも。
そして恩地の永遠のライバル、行天四郎。
唯一、実在のモデルがいない登場人物らしいけど、
ウィキペディアによると
「行天四郎=白い巨塔の財前」という説があるとか。
なるほど。

不本意ながらも、時の上司の独善的な推挙で労働組合委員長に就任した恩地は、その実直な性格から、不遇な扱いを受けている労働組合所属の職員に向けての、賃上げ、勤務待遇の厚遇などを訴え、ついにはストも辞さずの構えで、実直に、その職務を全うする。

しかし、その末にあったのは、会社側からの懲罰人事に等しい、カラチ、テヘラン、ナイロビへの転勤という事実上の島流しであった。

家族との離別、中東の僻地勤務中での母の死。様々な哀しみや憤りに耐えながら、恩地はその職務を、長期10年以上に亘り、遂行する。

その後、10年余の僻地勤務を終え、帰国した直後に起こったのは、国民航空123便墜落事故であった。500名以上の死者が出た、この航空会社史上最悪の惨事に、恩地は遺族係となり、懸命に家族への謝罪に真摯に勤しむのである。

その後、航空会社再建を謡い、かの総理から三顧の礼をして、迎えられた会長国見。国見からの申し出を受け、恩地が見た航空会社は、政官財が癒着し、労働組合が談合の隠れ蓑になっていたりという…腐敗政治という現実であった。


巨大組織の中、正義を貫く事ほど、勇気のいる事はない。「正しい」事を信じ、行き続ける事の難しさ。

これが、如実に伝わる作品であった。 


沈まぬ太陽〈5〉会長室篇(下) (新潮文庫)

ラベル:山崎 豊子
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2009年10月26日

沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) 山崎 豊子

沈まぬ太陽
<会長室篇・上巻>
御巣鷹山墜落事故後、利根川首相は国民航空を再生させるため、その新会長に、関西紡績会長の国見を任命する。

国見は、4つに分裂している国民航空の労働組合の統合を図り、機長、CA(キャビンアテンダント)、整備士、地上事務職などの各部署から代表者を集め、国民航空の縮図となる「会長室」を結成した。

恩地は国見から呼ばれて会長室の一員となり、再び国民航空内の不正と闘う決意をする。

会長室の調査によって、国民航空内の腐敗が次々に明らかになっていく。

腐敗した会社を正義感の強い人間が立て直そうとしたとき、足を引っ張るのが内部の人間や政治家なんて質が悪すぎると思います。どんなにがんばっても、理想とかけ離れた現実の毎日だと無力感を感じます。これが現実社会だと突きつけられてしまったような気がしました。


沈まぬ太陽〈4〉会長室篇(上) (新潮文庫)

ラベル:山崎 豊子
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2009年10月24日

沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 山崎 豊子

沈まぬ太陽
 @、Aに続いて読みました。
 @、Aを読まなくて、Bだけ読んでも十分だと思います。

 @、Aに比べて、事故の事実を詳細に述べている点など、小説というよりはノンフィクション(実際はそうかもしれないが)の読み物という印象を持ちました。

 当時、ニュースでかなりの情報を得たつもりですが、まだまだ情報不足だったことをこの本を読んで認識しました。

 遺族に補償交渉に当たる社員のことも描かれていますが、企業の危機管理という点でもこの本は読むに値するものだと思いました。

 亡くなった父親が妻と3人の子どもたちに宛てた遺書のところは、こらえきれずに涙してしまいました。

登場人物が実際の本名になっているところが、私には?でありました。

そこだけが、ちょっと、なんだかな、、なんです。それが作者の狙いといえばそうなのでしょうが。。。


だけど、本当なら書きたくもないような、賠償の事や、家族を失った人々の苦しみを、こうもあからさまに、書かれてしまい、

そこに、ただ驚愕する。

実際に30分もの間、揺れて落ちゆく飛行機の中での不安、苦しみはいかばかりか、

それを「想像せずにはいられない」のだが、「想像はできない」のです。それほどの恐怖。

空の上では逃げ場など誰にもないのであるから。

シートベルトの重要性などについても、詳しく書かれてあるし、色々と本当にここまでも、、、と
思うシーンがいっぱいです。

実際の被災者は520人ではなく521人であったことも書かれてあります。

この時代にこの事件に巻きこまれ、家族を失ったたくさんの方々、そして関わった方々、御巣鷹山に登った方々のためにも、決して忘れてはならない、と思った。。。


沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)

ラベル:山崎 豊子
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2009年10月03日

沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) 山崎 豊子

沈まぬ太陽
会社に押しつぶされそうな気持ち。
家庭を愛する気持ち。
しかし、その中で冷めた部分が出てきてしまう。
心の傷である。
社会の冷たさ、競争社会、日本社会。
これからこの日本社会に出て行くのかと思うと怖い気もする。
しかし、どんな時も人は一人ではないことを体感できる。

人の命を預かる航空業界で、古い体質の経営者により無理な労働を強いられる整備士やパイロット。そして無理やり労働組合の委員長に祭りあげられた主人公(恩地元(おんち はじめ))は、組合員の待遇改善のために会社の経営者と戦い、逆鱗に触れ、パキスタン、イラン、ケニアへと島流しにされる。会社は残りの労働組合員をさらに不当に扱う。
たぶん、今どきの青年なら、とっくに会社を辞めているだろうな。でも主人公は諦めない。意地?学資を出してくれた叔父さんへの義理?会社からの迫害に耐えている労働組合員への思い?
海外赴任中に実母を亡くし、別居し思春期に差し掛かった子供達が荒れ始め、自分も砂漠の中で気持ちがすさんでいく。

会社に裏切られ続ける一方、支援してくれる仲間や家族が居る。
それが力になったのか。この主人公は強い。
中東の国で権威を傘にチップを迫る係員に、目の前で紙幣を破って渡すシーンはカッコいいよ。

恩地元の話はまだ始まったばかり。
この後、御巣鷹の尾根に自社の航空機が墜落し、遺族係となる主人公の話が続く。
恩地の受難はどこまで続くのか?ハラハラドキドキ


沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)

ラベル:山崎 豊子
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2009年10月02日

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) 山崎 豊子

沈まぬ太陽
広大なアフリカのサバンナで、巨象に狙いをさだめ、猟銃を構える一人の男がいた。
恩地元、日本を代表する企業・国民航空社員。
エリートとして将来を嘱望されながら、中近東からアフリカへと、内規を無視した「流刑」に耐える日々は十年に及ぼうとしていた。
人命をあずかる企業の非情、その不条理に不屈の闘いを挑んだ男の運命―。
人間の真実を問う壮大なドラマが、いま幕を開ける。


いつもながらの徹底した取材と調査に裏打ちされた山崎豊子さんの小説。
「白い巨塔」「大地の子」などと共に前々から気になっていた作品です。
まだ1巻目ですが、すでに夢中です。
大企業の中で自分の信念をあくまでも捨てず、懲罰人事に耐え続ける主人公・恩地。
親友への誤解と保身の思いから、かつて理念を共有し共に闘った親友を捨て、出世の道を辿る行天。
今後の二人の辿る道が気になります。

映像化されるというニュースを聞き、喜ぶと同時に驚いた。この最悪の飛行機事故、それを起こした背景に潜む企業の利益、効率至上主義。さらにそれを操る政界。それらを描いたこの作品は映画化は無理ではないかと思っていた。それぐらいこの作品は生々しい。JALは反論しているが、この鮮明な描写を覆すほどの説得力があると感じる人は少ないだろう。

その後、同じく民営化後しばらくして大事故を起こしたJR尼崎線事故を目の当たりにし、御巣鷹事故の遺族がJR事故の遺族にエールを送り続けていることが深く理解できた。この作品を読んでいたからだと思う。

一人間と、その集合体であるはずの組織との間の不条理を描き続ける山崎豊子。この作品を読んで、世の中を見る目が変わったと言っても過言ではない。

ただ、あまりにも主人公を英雄的に聖人君子的に書いている様は(実際、そうだったのかもしれないが)、それが鼻につく人もいるかもしれない。それでもこの作品は一度は読んでおくべき本だと思う。

沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上) (新潮文庫)

ラベル:山崎 豊子
posted by クロルデン at 22:53 | TrackBack(0) | 山崎豊子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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