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2009年04月20日

坂の上の雲 (8) 司馬 遼太郎


司馬遼太郎さんの作品は大好きなのですが、
あまり人にお勧めしたことはありません。

理由は、司馬さんには独特の「史観」があり、
その人に司馬史観が「史実」として捉えられる可能性を懸念するからです。


でも、この本は全ての日本人に読んで欲しいですね。


いくら坂を上っていっても、決して辿り着くことができない雲。

100年たった今、日本は限りなく欧米諸国の近い場所まで到達しました。経済力と軍事力では最高水準です。
しかし所詮は極東の島国。アメリカの従属同盟国。
国際的な立場としては、やはり「下」なのです。
このままいけば非常任理事国というポジションさえも剥奪されます。

細かいニュアンスは敢えて避けますが、
乃木希典の旅順攻略作戦。
児玉源太郎のコサック部隊との攻防。
明石元次郎のロシアでの諜報活動。
敵艦を「全滅」させるためのT字戦法考案。


国連なんていう救済機関がない時代だけに、負ければ日本は終わりでした。
結果として雲には届いていませんが、
彼らの「必死さ」がなければ日本は存在しなかったはずです。

当時の日本人が口々に言った臥薪嘗胆。
この精神を教えてくれる作品です。



坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)

posted by クロルデン at 15:28 | TrackBack(0) | 司馬遼太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

坂の上の雲〈7〉司馬 遼太郎

専制国家は、必ず滅びる。
それは、国家の専制者の個人の志向・機嫌の
対内的関心のみをもち、
国家のための最善の思考法を誰ももたない。

そして、専制者から登用されるリーダーは
もちろん優秀な訳がない。

まさに、日露戦争のロシアの登場人物は
そんなリーダーばっかり。

机上の戦術原則には長けた秀才・クロパキトン。
彼は、敵を過大評価し、自分のリスクを展開して
想像する、自分自身の妄想に常に負け
撤退を繰り返した。

ロジェストウェンスキーに至っては
もう滑稽すぎる。。。
自分が器用で、優秀があるがために
人を信じず、戦略を公開すらしない男。


でも、強靭で変人と言われた秋山真之ですら
時として、悩み、そして狼狽する。
人は、そもそも弱いもの。
ロシア人のダメリーダーのように、
時としては、自分だってそうなるはず。

だからこそ、組織として補完関係を築き
そして、己の弱さを日頃から認めることが
大切だと思った。

いよいよ、ラスイチ!!


坂の上の雲〈7〉 (文春文庫)

posted by クロルデン at 15:25 | TrackBack(0) | 司馬遼太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

坂の上の雲〈6〉司馬 遼太郎

「死守」
大営指令本部の判断ミスによる、黒溝台の死闘。

秋山好古は、砲火により呼吸がするのがやっとな
戦闘の中でも、大局観を見失うことはなかった。
今、自分達が崩れれば、全日本軍が崩壊する。
死守のみが唯一の戦略目的。

1/10の戦力差の中で、
機関銃の有効活用により死守し、
それを軸へと好戦へ展開。
とにかく、じーんとくるシーン。


中盤の明石元二郎の諜報活動と(金銭面での)
ロシア革命支援は秀逸。
時流にのっていることもあるけど、
大きなことを成し遂げようとするとき、
猪突猛進ではダメだ。
色々と面展開をしながら、人の心を突かないとね、と思った。


坂の上の雲〈6〉 (文春文庫)

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2009年04月19日

坂の上の雲〈5〉司馬 遼太郎

旅順が漸く落ち、バルチック艦隊が動き出す。
が、ロシアの一人相撲は相変わらずで、
バルチック艦隊の話も時折鼻で笑ってしまった。

P301が印象に残った。
旅順でロシアが降伏を申し入れた際、
開城(まだ正式には開城になっていなかった時点だが)に、
両軍兵士が抱き合って喜び、共に酒盛りまでした話。
そして、

「このまだ交戦中であるはずの段階において、
 両軍の兵士がこのように戯れながら、
 しかも一件の事故もおこらなかったというのは、
 人間というものが本来、
 国家もしくはその類似機関から義務づけられることなしに
 武器をとって殺し合うということに適いていないことを
 証拠立てるものであろう。」

という行がある。

戦争を経験し、
「何故、あの大戦をしたのか?」と追求してきた
司馬遼太郎の言葉が胸に残った。

今までで一番きもちいい巻だった。

特に、児玉が第3軍司令部に乗り込んで、全てを仕切りはじめるところは最高。

とまぁ、複雑なことを考えずにすらすら読める一冊でした。

水師営の会見。
児玉と乃木の談話。

友情と義理人情。深く感じた。



坂の上の雲〈5〉 (文春文庫)

posted by クロルデン at 01:19 | TrackBack(1) | 司馬遼太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

坂の上の雲〈4〉司馬 遼太郎

日本は小国であり
とても欧米列強に正攻法で
太刀打ちできるものではない。
明治期の日本人たちは現在よりも
はるかに情報量が少ない中それを
正確に把握していた。

それなのに昭和の時代に入り
勝てる見込みのない戦争の泥沼に
入り込んでいく。

この小説を読むと
ではなんでその後間違いを
犯してしまったのか?
それを考えさせられます。

NHKで3年がかりのスペシャル大河ドラマに
なるって話はどうなったんだろう。


坂の上の雲〈4〉 (文春文庫)

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2009年04月18日

坂の上の雲〈3〉 司馬 遼太郎

この巻から、いよいよ日露戦争に突入する。秋山兄弟の物語よりも、この巻では陸軍と海軍の動向が主に語られる。

海軍の山本権兵衛は、合理的な考えの持ち主で、組織を強化するため、考え方や技術が古くなった将官を、それが自分の上官で有っても更迭し、能力主義を徹底させ、強力な軍隊を作った。
いっぽう、陸軍の山県有朋は、保守的な考え方の持ち主であり、藩閥で人事を決め、しかも精神主義者であり技術を軽視した。その結果、戦略的思考に劣った軍隊ができた。その最も悪い例が旅順における乃木軍である。

この司馬遼太郎の考えは、昭和から見た後知恵だ、という意見も当然として有るだろうが、組織論における、日露戦争という壮大な事例を基にしたケーススタディーとして説得力が有る。

坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)


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坂の上の雲(2) 司馬 遼太郎

遂に、昇さんと真之も社会に出て、それぞれの生涯をかけた事業に乗り出していく。前者は写実的な排階論、後者は海軍戦術を極めるために。

僕の好きな小村寿太郎も登場し始めて読み進めるのが楽しくなってきた。

細かい見所は、真之の要点主義、民族論。好古の豪傑論。なんかが気に入った。

途中の挿話のピョートル帝の話なんかも独特な人物で面白い。

やっぱ、一、二巻が好きです。


坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)

posted by クロルデン at 06:38 | TrackBack(0) | 司馬遼太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月15日

坂の上の雲 (1) 司馬 遼太郎

まだ序破急で言うところの「序」。
起承転結で言うところの「起」なので、そんなには面白さは感じられず。
まあ個人的に、ロシア戦争絡みが疎いこともあるんですが。(^^;;

あと、正岡子規が早くも病気になってしまいます。
史実通りなんでしょうけど、フィクションに慣れてる身からすると、ちょっと勿体無い気も。
まだまだ青春期なので、瑞々しい「生」を描いて欲しかったです。
とはいえ、そこは天下の司馬遼太郎。
子規が病気になっても脆弱な人間像にせず、「死」を恐れない明治の「漢(おとこ)」として描いているので、非常に前向きな「生」が感じられます。
(ちょっと前の文と矛盾するかな……)

それと、びっくりしたのが、子規が昔「ちょんまげ」だったということ。
教科書の写真ぐらいしか見たことがなかったので、まったく想像つきませんでした。
もしも。もしもこの小説のような社会が実在したのならば、自分もその社会の中で生きたかった。

司馬史観の偏りがしばしば議論される。しかし、私にとって司馬遼太郎の描く物語が真実かどうかなど問題ではない。それを読み、どう感じ、どう分析し、どう活かすかが重要なのだ。

例えば次のようなことに感銘を受けたので、箇条書きにして残す。

・フランスで医者にかかることを『国辱』と考えたこと
・陸軍大尉であるから人間としてどう生きるかという漠然とした問いに回答は出せないと返事をしたこと
・単純であろうとしているという回答
・自らは決して弱さを見せないこと
・のどを鳴らすことを恥と思うこと
・宣戦布告→先制攻撃を卑怯と考え、メッケルとやりあうこと
・立身出世と国益が一致したこと


坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

posted by クロルデン at 18:41 | TrackBack(0) | 司馬遼太郎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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