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2009年10月12日

輝ける闇 開高 健

輝ける闇
酒と女と喧嘩。書いてあるのはそれだけ。そして、一語一文が醸し出すウィスキーの、娼婦の、ベトナム戦争の、強烈な野生味、泥臭い匂い。こんな世界が存在したこと自体、想像もつかない。
 「戦争」に添い寝をしても、「反戦」を叫んでも、それは嘘になるのではないか。普遍的な問いかけがこの本にはあるように思う。
 開高 健「夏の闇」「輝ける闇」、ミラン・クンデラ「存在の耐えられない軽さ」にある「重さと軽さ」の章、スタインベックの自然描写を読めば、筆力のなんたるかが嫌というほどわかる。

ベトナム戦争に従軍記者として参加したノンフィクション…なのだが表現が文学的で、文学作品と言ったほうがいいのかもしれない。性行為の描写などはなにか違う本を読んでいるのではないか、と思ってしまうほどだ。

ベトナムでの体験を「もし書くとすれば匂い」とウェイン大尉に語るが、まさにそれ。生死紙一重の世界、混沌を極めたサイゴンや最前線、そこに生きる人々の様子…。数年前読んだときは、ただひたすらそれに圧倒された。

外から来たただの傍観者であることに著者は悩むが…確かにそうかもしれない、でもそんなことはない、と言いたい。出会う人々の出来事や言葉を全身で受け止めている。それでいてどこまでも謙虚だ。著者はこの混沌のただ中に身を投げ出した真摯な一人の人だ。それが去年読んだ二作とは比較できないくらい強烈に感じられる。

著者の死を見つめる眼、直面しての反応を少し記録。
銃のトリガーを引きたくなった衝動…「銃では殺人罪ですら犯せない」。
サイゴンで目撃した二人少年の銃殺刑…一度目から二度目の慣れ。
少年時代の思い出…死への安易な憧れ→機銃掃射するパイロットが笑っていたことと餓死体への恐怖→「澱み腐れた潮」。
前線へ向かう決意…「わなわなふるえ、目を輝かせ、犬のように死ぬ」→凄まじい極限状態→最後のページ、「自尊心が崩壊した」〜「泣き出した」前後の部分。

この最後の戦闘の描写は凄まじいとしか言いようがない。想像で書けるようなものではない、実際に体験した一人の真摯な文学者の証言だ。これが戦争なんだ。極限での殺し合いなんだ。ウェイン大尉他、兵士の変化も見逃せない。

著者の感じた「つくづく戦争は嫌だと思った」…まったくだ…。この本で語られたことを考えよう。


輝ける闇 (新潮文庫)

タグ:開高 健
posted by クロルデン at 17:55 | TrackBack(0) | 開高健 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月01日

対談 美酒について―人はなぜ酒を語るか 開高 健, 吉行 淳之介

対談 美酒について―人はなぜ酒を語るか
ご近所のレコード屋さんの前に置いてるダンボールに
「1冊50円」で売ってあったのを見つけて即買い。

ここ最近で1番自慢になる買い物。

倍の値段でも、500円でも買っていましたよ、絶対。

私の「フェイバリットオヤジベスト5」の中の御二人が
対談って事で、読む前から血糖値上がりっ放し。

(ちなみにベスト5の後の3人は小泉武夫、鹿島茂、菊地成孔。
3名とも存命。ツボにはまる人にとっては大好き、
興味が無い人にはホントどーでもいい文章を書かれる方々)



本書の内容は酒についてだけじゃなく、
人生、女、文学、映画、風俗から雑談までのあれこれ。



今で言う「ちょい悪オヤジ」(古い?)よりこの二人の方が断然かっこいい!!


美味しいお酒をちびちび味わいながら呑むように
ゆっくり読みたい1冊です。





posted by クロルデン at 10:12 | TrackBack(0) | 開高健 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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