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2009年09月14日

鬼の跫音 道尾 秀介

少しホラー・少しミステリの短編集。
全編、どことなく後味の悪い余韻が残ります。
共通している点としては全く別人だけれども、各篇に登場する人物の一人を“S”とイニシャル表記している所。
そして不吉さの象徴として鴉の描写が含まれています。
何か連作短篇のような意味があるのかと思っていましたが、私の読む限りではそういった点は見つけられませんでした。
印象に残ったのは「冬の鬼」という作品。
ある女性の日記という形式をとっているのですが、一月八日から始まり、七日・六日・・・と戻っていきます。
時間が戻っていくと同時に、この幸福に満ちた女性の日常の正体が…。
ぞっとするような愛の形をつきつけられます。
最後まで読んでから、冒頭の八日の日記を見返すとその意味が気になって仕方ありません。
一体、鬼の跫音とは何なのでしょうか・・・?


鬼の跫音



ラベル:道尾 秀介
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2009年09月10日

花宵道中 宮木 あや子

第5回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞と読者賞を同時受賞。今月の雑誌「ダヴィンチ」で絶賛されていたので読んで見たんですが、私の中の「和のエロス」、「乙女」のツボにはまりまくり。面白かった!
表題作「花宵道中」あたりは、ちょっと物足りないなあなんて思っていたんですが、この後に続く作品を読み進むと、話がダイナミックに広がる広がる。全体としては大満足の一冊です。

一番好きなのは「十六夜時雨」。

髪結いの三弥吉が、惚れた遊女八津のあざを見ながら
「・・・こんなふうになるまで、仕事しなきゃならないんですか」
とか

・・・・
「髪が、崩れる」
「そんなもん、また結えばいい」
とか
・・・・
ベタな少女漫画チックかもしれないけど、ぐっときましたよー。

この人の次回作に期待!




花宵道中 (新潮文庫)


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2009年05月19日

永遠の0 (ゼロ) 百田 尚樹

久しぶりの小説でしたが涙がとまらず字が読めなく、タオルで目を拭いていて痛くなったり、自慢じゃないんですが本を読むのは早いのに8時間かかりました、本当に泣きたい時はお勧めです、読みながら嗚咽しました。


ひと言でいうなら「緻密な作品」。
戦争の話の部分のリアリティは、これまで見聞きしたそんな話よりも鮮烈で真実味があった。
戦史を踏まえたうえで情景、心理描写がなされているから。
ただ、孫たちが活躍する現代の部分は、少し浮いてた。
リアリティに最も欠けるのは、元軍人が理路整然と往時のことを語ってしまう点。
私も経験があるが、若くとも80歳前後の人間は、そんなにスラスラとは話せないぞ。
物語の都合上仕方ないこととはいえ……

せめて10年前にこの作品が世に出ていれば、と思う。

けれども、この作品が完全なるフィクションだったら、凄いことだ。
ドラマや映画化されたらどうなるだろう?という創造も膨らむ。
ちょうど12章構成だし、連ドラにもしやすそう。
このあたりは放送作家ならではかも。


内容は!
日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた…。人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り―それが祖父だった。「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語。

この人の次回作も早く読みたい。


永遠の0 (ゼロ)





ラベル:百田 尚樹
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2009年05月18日

風の中のマリア 百田 尚樹

今一番おもしろい!と思わせる百田 尚樹さんの
新刊です、すごい楽しみにしてました。

まず一言…すげえおもしろい!
三日で読んでしまった、もったいない・・・
手が止まりませんでした

「女だけの帝国」が誇る最強のハンター。その名はマリア。彼女の身体はそのすべてが戦いのために作られた。堅固な鎧をまとい、疾風のように飛ぶ。無尽蔵のスタミナを誇り、鋭い牙であらゆる虫を噛み砕く。恋もせず、母となる喜びにも背を向け、妹たちのためにひたすら狩りを続ける自然界最強のハタラキバチ。切ないまでに短く激しい命が尽きるとき、マリアはなにを見るのか。
「BOOK」データベースより

今回の物語はオオスズメバチのお話です
オオスズメバチの生態、生まれながらにしての
戦士の物語ということを西洋ファンタジー調に
したような作品でした。
ピクサーのようなCGアニメーションにすると
面白くなりそうだなーって思いました。 

百田さんの引き出しの多さは本当に脱帽してしま
います、すごい作家さんですね。
正直もっと売れてほしい、そうすればもっと
作品だしてもらえそうな気がするから。
ちょっとしたきっかけがあると爆発的な
売れっ子作家さんになってしまうような気がします。



風の中のマリア







ラベル:百田 尚樹
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2009年05月16日

天使の卵(エンジェルス・エッグ) 村山 由佳

高校の時の模試に出てきてて、その時から部活のメンバーとかと「あの話よかったよねー」とか話してて、ずっと気になっていた本。機会が無くてずっと読めなくて、でもいつかは読んでやろう、と思っていて、この夏休みにやっと読むことができた。
感想としては、ラストとかは正直言って消化不良というか、中途半端な感じがしました。そこで終わるの?っていう。そこで終ったら、救われないよ、って。
ただ、この本には『天使の梯子』っていういわば続編があって、『―卵』はこれの長めのプロローグだと思うと、すっきりすると言うか。『―卵』を書いた時には『―梯子』を書くことは作者はたぶん考えていなかったんだと思うけれど、2冊合わせると、完璧だと思う。


天使の卵―エンジェルス・エッグ (集英社文庫)

ラベル:村山 由佳
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2009年05月10日

鹿男あをによし 万城目 学

【あらすじ】

「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」。二学期限定で奈良の女子高に赴任した「おれ」。ちょっぴり神経質な彼に下された、空前絶後の救国指令!!


「鴨川ホルモー」のときも思ったけど、まず設定の突拍子のなさが好きです。

剣道が結構話に関係してくるので面白く読めました。剣道知らない人はそこの描写はわかりづらいかもしれません。

神経質な先生が様々な濃いキャラと触れ合っていく中でだんだんと変わっていくところはなんかいいです。

国が大変なことになるかもしれないっていうのにのほほんとした感じがまたクセになりますよ。

――――――――――――――――――――
「いいか、先生。もう時間がない。くれぐれも――あ、ちょっと待ってくれ」
やけに緊迫したその声に何事かと顔を向けると、華奢な足の向こうに小さな丸い糞がぼろぼろと落下していくのが見えた。
「ふう――えっと、どこまで話したっけ?そうだ、くれぐれも」
「ち、ちょっと待て」
「何だ」
「前から言いたかったんだが、どうしてお前たちはそう、のべつまくなしに糞をする? 相手の面前で失礼だろう」
(本文より)
――――――――――――――――――――


鹿男あをによし





ラベル:万城目 学
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2009年04月30日

失われた町 三崎 亜記

「となり町戦争」、「バスジャック」そしてこの3冊めが「失われた町」 「となり町・・」以上にのめり込んだ なんて不思議なストーリー そして惹きつけられる
なんなんだろう・・こんなこと有りえない ジャンルで言えばSF小説だろう しかしある日消滅する町 そこに住む人 全て それを知る記憶も書物も無くなる
それに対抗していく手立てを探り続ける 一人、一人と望みを後世に託しながら命を落とす
何故か涙が出る
長い時間を経てやっと「戻って」きた和宏さん それを待ち続けた茜さん 長い、あまりにも長い眠りだったよ
だからこそきっといつか消滅を食い止める希望が見える

最初は何が書かれているのかわけがわからないけれど読み進むうちにだんだん謎が解けてくる 登場人物の絡みも・・
読解力の無い私は何度もページを行ったり来たりしてしまったけれどそれでも全てをしっかり読めて良かったと思えた一冊
ストーリーの奥に込められたメッセージには深いものがあるのかもしれない
「町に取り込まれる」「消滅」これは現実社会の何かに相当する?何?克服するには時間がかかる とてもつもない長い時間が・・それを貫き通す強い意志 それを支えるものは何?
人間は凄い
時間を追って物語の流れを読むだけでも十分に楽しめるが深く読む人もいるだろう


失われた町

ラベル:三崎 亜記
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2009年04月28日

告白 町田 康

明治26年に実際に起こった虐殺事件を題材に主犯格である城戸熊太郎の心の告白を主観客観作者の視点織り交ぜ800ページにわたって具に、執拗なまでに描き出されている町田康文学の集大成ともいえる作品。

どうしてかくも残酷な事件を起こすに至ったのか。それは彼の極端なまでの思弁癖が原因である。周りの人間のように思ったことをそのまま口にすることができない。河内弁で言い表すことのできない自らの内でぐちゃぐちゃしているこの言語は一体何だ?何だ何だ、どうして俺だけこんなことを考えているその思弁が熊太郎をどんどん虚無の中に追い込んでいく。内側の闇を通してしか世間と関われなかった。世界と自分の言語が合一した時は死ぬときだと悟った。

熊太郎は殊更暴力というものを厭悪した。嘘を嫌った。馬鹿で、正直な気のいい男だ。罪を重ねてしまう自分が嫌で許されたいと願い続けた。罰を受けるのを怖がった。それなのに・・・・
どうして人を殺すのか。恋の恨み、金の恨み、むかついたから・・・・全然違う、そうじゃない。最後まで熊太郎は口に出して語ることはできないが、すべて、ここには書かれている。


外側との乖離を感じ続け、人を殺すべくしてしか生きられなかった男の、切ない、内臓抉られるような告白である。

『人はなぜ人を殺すのか』


告白 (中公文庫)

ラベル:町田 康
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2009年04月07日

永遠の出口 森 絵都

小学校3年生〜高校卒業までの女の子の話でした。

子供の頃のあの小学校の時の誕生日事件の何ともいえない仲間意識!なんかわかりますね。 小学生の時って、あんな感じだったなぁって懐かしかったです。

中学は不良になってしまって。。。でも、少しの事がたまりにたまって変な道にずれてしまうことって中学生にかかわらず、今でもあると思います。それをうまくやりすごせるようになったというか。 叔母さんの手紙と子供の気持ちはあぁも違うんだなぁって思いました。まだ、中学生の気持ちの方に共感できただけ若いのかなぁ?まあ、親が心配するほど子供はグレたことに真剣に悩んでないということですね。

そして、高校生での恋。私はまだ同じようなことで悩んでるなぁ(^^;) てか、高校の時はそこまで到ってなかった。高校の時にもっと青春しとくべきやったなぁ・・。今になって後悔。

でも、最後にはどんな未来もありうる・どんな生き方もできる。と何か希望のもてる描き方がしてありました。  おもしろくておもしろくて、いっきに読んでしまいました。

永遠の出口 (集英社文庫(日本))

ラベル:森 絵都
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2009年04月04日

ボックス! 百田尚樹

今回読んだ小説は2人の少年がボクシングを通して、強く『変わっていく』物語です。成長だけでは片付けれらない感じです。1人はチャラけてるけど才能あるボクサー。もう1人は勉強熱心だが体力がないいじめられっ子。仲のよい2人が高校のボクシング部に入部し、部員やコーチ、顧問とのかかわりの中、笑ったり怒ったり泣いたりして成長し、強くなっていきます。

チームスポーツ、球技、陸上とは違い、試合が完全に一対一で互いに向き合い、互いの体を直接打ち合うボクシングはやはり、アマチュアスポーツとしても他のスポーツとは一線を画すものだとこの小説で語れています。同時にボクシングの技術についてわかりやすく説明されているのでこれからボクシングの見方もこれを読むと変わるかもしれません。
スポーツにおいて『勝つ』というと概ね何かの点数や時間、距離など点数で決める要素が多いです。アマチュアボクシングも基本はポイント制というところ同じですが、殴り合いという土台があるので『倒して勝つ』という要素があります。これが他のスポーツにない要素です。そしてこの要素こそが他のスポーツにはない異質さと感動があります。快感があります。

そんなドロっとしたノリを交えながらも爽やかさを感じさせるものがこの小説にありました。
後半は結構うるっときました。面白い小説です。強さの比較がでてしまうボクシングをしていながらやっぱりお互いが大好きな友達という2人の少年がすごく良い感じです。また、ボクシング部のメンバーや顧問と良いキャラが揃っています。・・・もうちょっと濃くても良かったかなとも思いますが、全体面白い小説です。
個人的には『一瞬の風になれ』や『風が強く吹いている』の二つにはちょっと及ばないかもと思いましたが、ボクシングを体験した人なら感動の度合いが違うかもしれません。
面白い作品でした。
ボックス!


ラベル:百田 尚樹
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2009年04月01日

恋文の技術 森見 登美彦

主人公である守田一郎が、友人、先輩、作者etcに向けて書いた手紙を延々と読む、書簡体小説。

全ての手紙(文章)が、主人公である守田くんの視点から独断と偏見を多いに交えて書かれている。にもかかわらず、文中の登場人物が生き生きと、チャーミングに動き回るのはさすが、森美登見彦!

さらに驚くべきは、「おっぱ○」の記述の多さでしょうか。

数えたら202箇所、「おっ○い」と書かれていた。

全332ページに対し、202「お○ぱい」。なんて驚異的な数!


大学生活の最後に…と読んだ本書が、こんなにも「○っぱい」で満ち溢れているとはさすがにビビります。

が、そこは森美登見彦。202の「おっぱい」を乗り越えて、物語は大団円へちゃ〜んと着地します。

装丁も可愛らしく、見て良し、読んで良し、でした。



ラベル:森見 登美彦
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2009年03月28日

少女ノイズ 三雲 岳斗

短編連作形式のミステリー作品です。
推理要素が入っていますが、推理ものというよりはそれは作品を盛り上げる要素の一つだけ。
ミステリー作品としての色合いが強いです。

舞台設定や一部キャラクターは作者の他作品に出てきたキャラクターがいるので、一部のシーンではにやりとするところがあります。
読んで無くても問題ないのですが、あるシーンでなんで?と思うところが出てくるかもしれません。

ミステリー作品として異例なのはキャラクター設定に負う所が多い作品です。それと一部にSF色が出ている。
元が連載作品であるがゆえの枚数制約の影響なのか描写や展開が急と感じたのがちと残念かな。
そのかわり1章ずづ読みやすい作品なので、楽に読める作品ではあります。



ラベル:三雲 岳斗
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2009年03月23日

日暮らし 宮部 みゆき

上、中、下の三巻、あっという間に読み終わりました。
一応サスペンスなのかな?
江戸時代の長屋のお話で、出てくる人のキャラクターがみんな良い味出してて面白かったです。

おかず屋さんや料理屋さんが出てきたり、何かと料理がよく描写されていたのが印象的。
煮卵が食べたくなりました。
その話を父にしたら、「さすが女性作家だね」とのこと。
料理をおいしそうに描写するのは、あまり男性作家の本では見ない、という父の意見でした。
自分はあまり気にしたことないのですが、そんなものでしょうか?

最後の解説を読んで初めて、前作があったことを知りました。
前作読まなくても、ストーリーは問題なく理解できたけど、やっぱり順番通り読みたかったです。残念。







ラベル:宮部 みゆき
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2009年03月22日

ぼんくら 宮部 みゆき

最近この続編の「日暮し」が出て評判になりましたが、まずは一作目から。

江戸の長屋が舞台。時代小説は剣豪ものか偉人ものか人情噺に分かれるとこがありますが、庶民の人情噺系となる。

お兄さんが殺されたとか、父親が博打に狂って、娘を売りに出すとか、壷信仰という新興宗教に凝るといった話が短編風に並ぶ。悪くはないけど人情噺にしては少し薄味かなと読んでいたら、これはミステリなんですね。
途中でミステリの様相を帯びてくるあたりはなかなか面白い。

主人公は同心・平四郎で、さほど仕事熱心ではなくて、タイトルの「ぼんくら」は彼のことを指してるのだろう。「仕事人」の藤田まことを連想するキャラだ。仕事熱心ではないけどなかなか魅力的。

話半ばになってその甥っ子12歳の弓之助が登場、彼が実は探偵役。平四郎はワトソン役ってことになる。
弓之助、自分の顔を見てぼーっとしない人は心に誰か他の人がいる、恋人がいるということです。というほどの美形。

何でも測るのが大好きで目測だけでたいがいの長さが分ってしまう。

彼に字の手習いのつもりで、事件の顛末を書かせていたらそれだけで真相をあてていく。つまり安楽椅子探偵状態ですね。
利発なんだけどオネショするクセがなおらないといった造形が見事。

人情噺と思って読んでいたら、急に安楽椅子探偵モノになったりするのでなかなかスリリング。

長屋に入ってる人たちが次々といろんな事情で家移りするんだけどそれには深い陰謀があった・・・。という展開に。
宮部さんらしい長屋の人物の描き分けも巧み。この人物たちにはまた会いたい。シリーズ化してもらいたいという声が大きかったと思う。それで続編なんでしょう。ワタシも早く読みたい。

難はもう少し短くならないのというくらい。おそらく彼女はスティーヴン・キングタイブの饒舌タイプの作家なんでしょう。





ラベル:宮部 みゆき
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2009年03月20日

理由 宮部 みゆき

もう、ただひたすら、面白うござました。m(_ _)m
参った!!

この作品を読む前に貴志祐介の刺激の強いホラー作品にハマってしまい、再び宮部みゆきの作品を読んでも物足りないのではないかと、実は密かにつまらない心配をしていたのであった。
そんな心配、さらさら必要なかったようだ。

この小説は、ルポタージュという形で事件から時間が経ってからまとめるという手法で書かれている。
しかし、一問一答といった質疑応答という形になるのは、この長い小説がやっと中盤に近づいた頃である。
それまでは、事件の周囲の関係者の誰かがインタビューに答えているという形になっていて、従って、ワイドショーを字面で追っているような受け止め方になるので、読み手側はとても感情移入がしやすい。
宮部みゆきはただでさえ読みやすいという印象なのに「これまた、してやられたな!」と、感心するばかりである。

もちろん手法だけじゃなく、事件そのものも展開も衝撃度は高く、今回は寝際などの少ない時間で少しずつ読み進めていったのだが、毎日、この小説を読んでいる時はとても贅沢な味わい深い時間になっていた。
最後、怪談っぽく終わらせているところも、この人の遊び心があって良かったと思う。

いい作品を読むと、心がふくよかになった気分になれる。
とても嬉しいことである。



ラベル:宮部 みゆき
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2009年03月10日

夜は短し歩けよ乙女 森見 登美彦

このタイトルと中村佑介さん(アジカンのジャケ描いてる方)の表紙イラストがツボど真ん中だったのになかなか読めてなかった作品。
やっと読めました〜♪

サークルの後輩の女の子とお近付きになろうと、偶然の出会いを演出しようとする冴えない男子大学生が主人公。
京都を舞台に、春の四条木屋町、夏の古本市、秋の学園祭、そして冬の異常な風邪の流行とともに二人の恋の進展を描く、みたいな感じ。

いやーこれははっきり好き嫌いが分かれそうですな…
森見作品の回りくどい文体とか、本に関するマニアックな話とか、妄想の織り混ざった世界観とかについてけない人にはオススメしないです。
リアルなんて吹き飛んじゃってもいい、妄想の世界で遊びたい!って人は楽しめると思うけど。

個人的には、彼女の愛らしさに惚れかけました…
まじかわゆす(*´ω`)
上品な語り口調と旺盛な好奇心とのギャップが好きだ〜
身近にこんな子がいたら主人公ならずとも仲良くなりたくもなるわな。
まぁ現実にはいないけどね。どうせ妄想。

京都の地名やお店の名前とかもけっこう出てくるから、地元民だとさらにニヤニヤできますw




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2009年03月08日

龍は眠る 宮部 みゆき

日本推理作家協会賞受賞作。

人の心が読める超常能力を持つ少年2人(稲村慎司・織田直也)と雑誌編集者(高坂昭吾)の周りに怒る事件の数々。
誰にも言えない秘密、それが生み出す悲劇と同時に、彼女の作品は「人って悪いもんじゃないな」と思えるなにかがあります。

ちなみに人の心が読める超常能力を私は信じます(笑)科学で解明できないものはなるたけいっぱいあったほうがいいのですきっと。そこから想像力や妄想力(!)が生まれてくるから面白いと思うんです。
「我々は身体のうちにそれぞれ一頭の龍を買っている。底知れない力を秘めた不可思議な形の、眠れる龍を。」
私にはどんな力をもった龍が眠っているんだろう?本当にいるんだろうか?眠りこけているのか起きているのか気絶してるのか笑っているのか。
そう考えるだけでも楽しい。



ラベル:宮部 みゆき
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2009年03月07日

69 sixty nine 村上 龍

はじめて読んだのがこの本。

はじめて読んだのがこの本でよかったと思う本です。

初めの一冊に適冊です。

こういう時代があったのは確かです。いつからか学生は大人しくなりました。自分もですけど。

この本がすきなのは、一見馬鹿っぽいけど、すごい頭のいい本だからです。

著者もこの時代が人生で3番目?に楽しかったときと言っているだけあってすごい楽しい本です。

あとがきに、今はどうやって楽しく生きるかではなくてどうやって生きるかになってしまったと書いてあります。

自分が印象に残っているシーンは、

見つけたぞ、
何を?
永遠を。それは太陽にとける海だ。

ここは、スラダンの花道とりょーたのブランコを思い出すくらい気に入ったシーンです。

本当に楽しいのでぜひ読んでください


ラベル:村上 龍
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長崎オランダ村 村上 龍

「69」に出てくるヤザキ・ナカムラが大人になり、
長崎オランダ村で行ったワールドフェスティバルについて
ひたすらに食事と酒を堪能しながらしゃべりまくる、
という不思議な構成の小説。
小説というよりエッセイに近いイメージの展開。

テンポ良く流れる文章と、
ウィットと馬鹿話に溢れた会話の応酬が面白い。

文化と言葉などバックグラウンドの違いを持つ
人たちの混沌や、
その人たちのもつ熱的エネルギーのようなものを
読みながら感じた。

海外に行って、ケチャやらスチールドラムやら
フラメンコやらを体験したくなった
長崎オランダ村 (講談社文庫)

ラベル:村上 龍
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イビサ 村上 龍

黒沢真知子。

パリ・モナコ・モロッコ・バルセロナそしてイビサへと、移動し続ける女。
ときおり「ガイド」に導かれながら旅を続ける彼女の精神エネルギーは、ありとあらゆる階級、人種、霊界とも、容易に交信できるものだ。

最近はオーラだとか波動だとか、そういう言葉に違和感はなくなってきているけれど、80年代後半にこういうものを描くことができたという村上龍の描写力は圧倒的なものだと思う。

スノッブで贅沢で、暴力とドラッグとセックスと幻想に溢れた内容に嫌悪感を抱く人も少なくないと思うけれど、これらの要素を緻密に描くことによって、マチコの感覚が研ぎ澄まされ、自らと対峙していく内面世界を暴露することに成功しているように感じる。

イビサに何があるのか。別にそこには何もないと村上龍もあとがきに書いている。行ったことのない場所そのもの自体に何か意味があることなんて、そんなことはほとんどない、と個人的にも思う。
たどりつく過程で得たもの、人との関係性が、「イビサ」の本質。その時、場所に意味が生じる。


個人的にはモロッコのバスの中でのマチコと少年のやりとりが好きだ。

  ロマンティックという概念、それはとても胸をときめかすことなのよ

  絶対のものなんてないんだって知ることが第一歩なの

  夢というのはもっとも真実から遠いもの

こんな内容を(実際は言語波だけど)一つの文脈で繋げることができるのは、マチコだけだ。
イビサ (講談社文庫)

ラベル:村上 龍
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コインロッカーベイビーズ 村上 龍, スティーブン・スナイダー

キクとハシは多分誰にでもある二面性なのだと思う。
だからこの二人は二人で一人だとやっぱり思う。
どれだけ違う道を選んでもそれは私のなかでは最後まで変わらない。

お母さんが死ぬ所の描写は恐ろしい。リアルで生ナマしくて絶対隣に存在しないなんて言えないしな。

アネモネは理想。

村上龍の作品で一番読み込んだし一番影響受けたかも知れない。
コインロッカー・ベイビーズ (上) (講談社文庫)
コインロッカー・ベイビーズ (下) (講談社文庫)

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海の向こうで戦争が始まる 村上 龍

村上龍の二冊目の小説。あまり有名では無いみたいですね。村上龍は、外国の下層人や汚物などに視点が行ってるように思えた。文章は相変わらず素晴らしいけどちょっと物足りなかった。全体的に、木製のジェンガが崩れそうな儚さが漂っているように思えた。
人間の根本には、規則に縛られた退屈な日常生活から開放されて戦争を行いたいという本能的欲求があるとこの本には書かれていた。私は戦争は反対だが人間の精神の根本にそういう欲求があるのは認めざるを得ない。
海の向こうで戦争が始まる

ラベル:村上 龍
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滅びのモノクローム 三浦 明博

長崎、戦争、原子爆弾…

最初の一章で、大作の予感を感じさせるには十分だった。しかし、その期待は裏切られることになる。
テーマを絞り切れていないため、ちぐはぐになってしまった様な印象を受ける。ミステリーに必要な、物語の核になるものが、最後まで曖昧模糊としていた。

結局、筆者が訴えたかったものは何だったのだろうかと考えてみる。
政治、戦争、言論弾圧、外人差別…
限られたページ数の中で、彼の言いたいことが十分に表現されているとが思えない。
ただ、作者の書く文章は好きな部類に入る。だからこそ、ストーリーの面で残念だった。

この作者の書いた、他の本も読んでみたいと思った。
滅びのモノクローム (講談社文庫)

ラベル:三浦 明博
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ICO-霧の城- 宮部 みゆき

PS2ソフト「ICO」のノベライズ。
“霧の城”への生贄の証である角を持った少年イコが、“霧の城”へ連れて来られ、不思議な少女ヨルダと出会い、一緒に城からの脱出を図る。
最終的に城の主と対決〜
というストーリーだが、原作は主な登場人物はイコ、ヨルダ、城の主の3人しかいないし、イコ・ヨルダ間は言葉が通じないという設定。
敵も城の主の他は羽が生えてる奴と生えてない奴の2パターンしかいないけど、、、
以上のことを踏まえ、ノベライズできるのか?!と思いきや。
とっても膨らましてくれました。

“霧の城”に来る前のイコの村の話、廃墟になる前の“霧の城”の話(ヨルダの過去)がオリジナルで入ってます。
“霧の城”の過去のお話にかなりのページを割いてますし、そこが一番読ませるところでした。
原作のエンディング後のいわゆる「その後」の話を期待してましたけど、終わり方は原作と一緒でした。無難。

私の苦手な怖いやつが追いかけてくる系アクションだったので、ゲームはやりっぱなしだったんだけど、これを読んでプレイ中通過しただけだった城内の各部屋がエピソードを持ったので、2周目やるならより楽しくなりそう♪
2周目はヨルダのセリフに字幕も付くらしいし、やり直そうかなあ。
ICO -霧の城-

ラベル:宮部 みゆき
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かまいたち 宮部 みゆき

宮部みゆきさんの時代小説の短編集。
「かまいたち」、「師走の客」、「迷い鳩」、「騒ぐ刀」の4作品。

時代小説はほとんど読んだことがないのだが、作者が宮部みゆきさんなので読むことにした。
「迷い鳩」と「騒ぐ刀」は登場人物が同じで、まるでここだけは中編小説のような感じを受ける、変わった構成となっている。そして、この2作品が特に面白い。

さっきも言ったように、この2作品は登場人物が同じで、ある日、あるきっかけで、特殊な力を使えるようになった少女を中心に物語が進んでいく。『龍は眠る』や『クロスファイア』のような主人公なわけだ。

宮部さんの小説では、そういう「特殊な力」を持つ主人公が多いが、そんな主人公たちが「特殊な力」を持ったために感じている義務感や苦悩などを、宮部さんは細かく丁寧に書いているので、「特殊な力」など持っているはずのない読んでいる側も、まるで「特殊な力」を持っているかのように彼等に共感することができる。そこが宮部さんの凄いところだと思う。
かまいたち (新潮文庫)

ラベル:宮部 みゆき
posted by クロルデン at 03:33 | TrackBack(0) | ま行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

レベル7(セブン) 宮部 みゆき

「レベル7まで行ったら戻れない━謎の言葉を残して失踪した女子高生。記憶を全て失って目覚めた若い男女の腕に浮かび上がった「Level 7」の文字。少女の行方を捜すカウンセラーと自分たちが何者なのかを調べる二人。二つの追跡行はやがて交錯し、思いもかけない凶悪な殺人事件へと導いていく。ツイストに次ぐツイスト、緊迫の四日間。気鋭のミステリー作家が放つ力作長編」

本の裏表紙に書いてあるこの文章が秀逸です

読み終えて思ったことは、「長い」ということです

全部で650ページ以上あります

後半からはさくさくと読めますが、前半は話の展開が遅い上に本編とあまり関係の無いような内容も多くて、正直退屈で、実際おれは一回挫折して2度目で読破しました

前半をもう少しコンパクトにまとめた方が読者には親切ではないでしょうか

それから、「レベル7っていったいなんやろ」って期待させられたわりには、真相はあっさりしてて若干肩透かしでした

もっと、未開の秘境とか異世界とか、ぶっとんだものを期待してたんですが、ちょっと奇抜さを求めすぎでしょうか

登場人物が多くて一人一人の行動を把握するのがちと大変で、背景描写も少しわかりにくいのも残念かも

肝心のストーリーそのものは、それなりに楽しめたと思います

レベル7(セブン) (新潮文庫)

ラベル:宮部 みゆき
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2009年03月06日

介護入門 モブ ノリオ

大麻ジャンキーの無職の30男が
おばあちゃんの介護をする、という結構破天荒なお話。

ストーリーというストーリーはこれといって無く、
彼の心理描写で物語は綴られる。

大麻中毒者よろしく語り口がメチャクチャだったり、で
「確かにそうかも。」ってヘンに納得してしまう部分もあったりして、なかなか興味深い作品だった。

自分の親は有難いことにまだ介護が必要な状況ではないけど、他人事ではねーんだよなー。

「老いていくからこそ人生は美しい。」って俺の好きな言葉の一つ。
ただ現実として重度の介護を必要とする人を介護し続けるのは、精神も肉体も蝕まれる重労働だ。現に介護に疲れて自分も親も殺してしまう人だっているわけだし。


親が元気なのは有難い事だし、なるべくいつまでも
元気でいるように、色んな負担を減らしてやらねーとな
って思った。
介護入門 (文春文庫)

ラベル:モブ ノリオ
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2009年03月02日

火車 宮部 みゆき

ー僕の婚約者を捜して下さいー
きっかけは親戚から頼まれた人捜し。
負傷のため休職中の刑事、本間は興味本位に彼女を捜すことにする。
しかし彼女の痕跡が露呈していくにつれ驚愕の真相が徐々に明らかになっていくのであった。


現代が生んだ社会問題、カード破産。
借金をしてでも欲しいものを手に入れるなんていう考え方は本当にあり得ないと思っていたけれど溝口弁護士の力説を聞いたら、とにかく身近に起こりうる可能性が高いのだと思い知らされました。

ただ幸せになりたかっただけなのに…

辛い過去を背負ってきたからこそ生きることにシビアになれたんだろうな。

こないだ勘違いでキャッシングに手を出しかけた私としては、読みながら冷や汗ものでした苦笑

ラストに悶々としますがそれもアリかな。


【オススメ対象】
・つい計画性のないお金の使い方をしてしまう
・生まれ変わりたいと思うことがある
・自分が幸せになるためならば婚約者でも裏切れる
・可愛がっていた動物が亡くなってしまった過去がある
火車 (新潮文庫)

ラベル:宮部 みゆき
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2009年03月01日

翼―cry for the moon 村山 由佳

『すべての雲は銀の・・・』を読んだ時、村山由佳さんを「田舎社会の温かさと閉鎖性を表現力豊かに描く作家」だと思ったけれど、この作品でも驚いた。
 もしかしてアメリカ人と同じくらい、いや、アメリカ人以上にニューヨークとアリゾナを深く愛し、そこで生きる生身の人間達を畏敬を込めて描いているのでは・・・?と感じた。『すべての・・・』と同じく、徹夜して夢中で読み耽った。

 作品を読み始めてまず驚いたことは、主人公の日本人女性、真冬(マフィ)を取り巻く登場人物達の人種的背景が、非常に多種多様なことである。
 プエルトリカン移民の精神分析医、デニス・ジャクソン氏。真冬の住むアパートメントの大家、ユダヤ人のミセス・ローゼンシュタイン。ラリー(真冬の恋人)の息子ティムのベビー・シッター、中国人のシリル。真冬の3人のルームメイトにいたっては、WASP出身はルーシィだけで、ドングは韓国系アメリカ人だし、レズビアンのサンドラはイギリス人の留学生だ。そして、この物語に欠かせない大切な人物−ティムを始め、ブルース、ウドゥン・レッグ、シルヴァー・ウィード達−には、ネイティブ・アメリカンの血が流れている。
 それぞれが自分の民族的アイデンティティに誇りを持つと同時に、マイノリティであるがゆえに差別や偏見に会ってきた幼少時代を持ち、それを積み重ねてきて現在も生きている。
 真冬と3人のルームメイト達のように、お互いの違いを認め、尊敬し合える友達同士は最高だけれど、全ての人間関係がそんな風に上手く行くはずもない。
 私自身は、これまで一度も人種差別らしい人種差別をされた経験がなく、彼らの経験を「遠い国で起こっている他人事」としてしか理解できず、あまり偉そうに言えたことではないが、差別に心を踏みにじられても戦い抜いてきた人達を勇敢だと思うし、自分が優位に立たなければ安堵を覚えることのできない臆病な人々を、哀れに思ってしまう。
 肌や髪の色、言葉、生まれ育った環境、それとも・・・?
 一体何が私達を決定し、何が私達を隔ててしまうのだろうか。そもそも、人間を人種別に分類・定義することに、意味があるのだろうか。
 アメリカという国を舞台とする物語ならではの問いを、この小説は投げかけてくる。

 一方、民族や人種の「違い」に焦点を当てながらも、この小説は、全ての人間に共通している「愛」をテーマにした物語でもある。 
 それも、恋人、家族、友人同士の愛だけを指しているのではない。もっと壮大な、生きとし生けるもの全てを包み込む母なる自然の存在を、静かに感じさせるのだ。
 その「母なる自然」の声を汲み取り、代弁する賢者が、ナヴァホ族のメディスンマン、ウドゥン・レッグである。
 彼は言う。この世界には、喜びもあれば悲しみもある、生は死を糧とし、死は生を糧とする。愛と憎しみもまた表裏一体であり、どちらがいいとは言えないし、どちらも必要なのだと−。そう言って彼は、「冬は春の始まり、『真冬』という名前は実に良い名前だ」と彼女を祝福する。
 この物語では、周囲から愛されている立派な青年が不幸な事故により亡くなったり、何の罪もない小さな子供が性的・暴力的虐待を受けたりする。
 こんな酷い出来事に、一体何の意味があるのか、私には理解できないし、理解したくもない。
最初は、「神なんていないんじゃないか」と罵りたい気持ちさえあった。
 けれど、メディスンマンの言葉を聞いた時、彼の言葉には、「癒し」とはまた違うのだが、キリキリと痛む心の傷を、美しく懐かしい悲しみに変えていくような、そんな不思議な力があるように思った。

 人種・民族の壁を乗り越えていくことは、難しい。いや、人間は誰もが皆他人なのだ。他人種・他民族にかかわらず、他人を理解すること自体、始めから無理な話なのかもしれない。
 けれど、自分と違うからこそ、自分には決してその人の考えていることがわからないからこそ、人は他人に惹かれ、愛するのではないか。
 真冬が初めてティムに言った“I love you”。
 ラリーの、最後のお願い。
 そして、暗闇の中のブルースの、温かい腕。
 人を愛するということは、大きな勇気が必要なことなのだと教えてくれたこの3つの美しいシーンは、私の宝物だ。愛することに誇りを持つ生き方を教えてくれた彼らに、お礼を言いたい。

 まとまらない感想文になってしまったが、味わい深い場面、心に刻み付けたい素晴らしい台詞が多く、何度も何度も読み返したい作品。稀に見る傑作小説である。
翼―cry for the moon (集英社文庫)

ラベル:村山 由佳
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2009年02月02日

ブレイブ・ストーリー 宮部 みゆき

高校の時、不覚にも授業中泣いてしまった一冊。
特に下巻がマジなける!

著者は「模倣犯」の宮部みゆき

内容的には、家族を立て直したい少年が、現世と幻界を繋ぐ扉をくぐり、5つあつめると願いを叶えてくれる宝玉を探し出し、女神様に願いをかなえてもらう一般的なファンタジー。

だけどその話の根底には、つらい現実と認めたくない自分、受け入れなければならない事実と人との絆の大切さ、大切な人のためには何をしなくてはいけないのかとゆうリアルなテーマが存在する。

上巻では、ファンタジーとは思えないほどドロドロした大人の事情が大半を占め、
中巻では世界巻の補足や人物の形成、

そしてクライマックスである下巻では少年の終着点と結果、何を成して、何を救えなかったか、
世界を滅ぼしてまで叶えたかった友の願い

人の願いの大切さは個人個人である事実

自分の心の奥底にある、人には見せられない醜い思い。

少年が歩み、育んできた様々な結果の果てに、行き着いた答えとその意味

漫画や映画にもなったけどそれぞれストーリーが全然違う

やっぱり小説版がイチバン好き

たとえば自分が一番不幸だと思うこともあるかも知れない、
誰を犠牲にしても叶えたい願いがあるかもしれない
大切な人に伝えたい事があるかも知れない

でも世界は動き続けるし、想定してない争いが自分を苦しめるかもしれない

そんな時はこの勇気の伝説を感じて(読んで)ほしい

ミーナのやさしさを、

キ・キーマの力強さを、

カッツさんの勇ましさを、

ロンメル隊長の使命を、

大松香織の切なさを、

幻界の叫びを

そしてミツルの願いと憎しみと後悔、そして最後を

ワタルの勇気と言葉と友情、導き出した答え、勇者の剣の輝き、

全てを包む決意の眼差しを感じて欲しい

そうすれば、あなたの心に不思議で心躍る幻界の入り口 要の扉が現れるはずだから…


『旅人よ ハルネラが輝くときにまた会おう 運命の女神は幻界より 強くやさしきヒトの子を 勇気とやさしさに満ち溢れた小さき勇者を そしてその決意を 慈愛と敬愛の光の瞳で見守り続けるのだ』







ラベル:宮部 みゆき
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2008年09月25日

翻訳夜話 村上 春樹, 柴田 元幸

『星の王子様』のいくつかの版を読んで、訳者による違いって大きいものだなと思ったのだけど、この本で訳者の舞台裏を垣間見て納得する部分も多かった。

村上さんが翻訳をはじめ、今も続ける理由。
「優れた文章に浸かりたいから」
「思い入れのある小説の創作に「参加したい」という気持ち」
…わかるなぁ〜。とはいえ、趣味で(自分のためだけに)翻訳始めちゃったってすごい。


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翻訳夜話2 サリンジャー戦記 村上 春樹, 柴田 元幸

刊行以来50年を経てもいまだに売れ続けている大ベストセラー小説でありながら賛否両論のさまざまな評価を受けている『キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライ麦畑でつかまえて)』の作者J・D・サリンジャー。

そのサリンジャーに対して柴田元幸とキャッチャー・イン・ザ・ライの翻訳者である村上春樹が徹底的に語りまくる!!!


どのようにサリンジャーがPTSD(心的外傷後ストレス障害)になったのか?

なぜ彼がアイビー・リーグやアカデミズムに執拗なまでに反抗したのか?

彼が映画嫌いな理由

このベストセラー小説を世間が受け入れず一部で禁止図書扱いにまでなった理由

ジョン・レノンを暗殺したチャップマン、レーガン大統領暗殺を企てたヒンクリー両者のポッケのなかに『ライ麦』が入っていた理由

そして最大の謎である、サリンジャーが人間を信じられなくなり人との交流を断ち、森のなかでひっそりと生きる理由

この本を読めばすべてがわかります!!!

村上春樹と柴田元幸のかなり的を突いた会話調の文体もすごく読みやすい。

この本を読めば『キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライ麦畑でつかまえて)』が100倍おもしろくなる

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村上春樹、河合隼雄に会いにいく 村上 春樹 河合 隼雄

この本はいい!私の知的好奇心をものすごく満たしてくれた。
心理学に興味のある人、村上春樹という人物に興味のある人は是非読んでみてください!!

学校の授業でも、この本使えばいいのに。
心理学と文学両方にいける。

ただ、注意事項があります。
この本を読む前に、「ねじまき鳥クロニクル」を読んだほうがいいと思います。一応この本を書いて(又は読んで)の対談という形式になってるから。読んどいたほうがより理解が深まると思います。


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村上ラヂオ 村上 春樹 大橋 歩

大分空港の売店でこの本か小沢征爾と大江健三郎の対談「同じ年に生まれて」のどちらを買おうか迷って結局「村上ラヂオ」にしたのだが、やはり一度読んだ本だった。
まあいいか。村上春樹の文庫をそろえるのも。
white lieについてどこで読んだんだろうと思ったらこの本だったんだ。
猫の自殺の話や猫山さんはどこへ行くのか?などの猫話も面白いし、彼のエッセーはほんとすらすら読める。
しかもお腹が空く。
帰りの飛行機はかなり揺れたんだけれど。


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2008年09月11日

遠い太鼓 村上 春樹

3年間、村上氏は日本を離れ、ヨーロッパで暮らしていた。
その間に、「ノルウェイの森」、「ダンスダンスダンス」の2冊の長編を書いている。
この本では、その小説を海外滞在中に書くにあたっての、裏話が書かれており、とても興味深い。
また、旅行記としても、ギリシャ、イタリーを中心と書かれており、とても当地に行ってみたくなる。村上氏は白人がどこの国の人は大方わかるようで、人を見る目・観察力が長じていることも、この小説からわかってくる。
このレビューでは、1.2つの長編を書いていた裏側の紹介2.旅行記3.人間観察についてまとめてることにした。

冒頭、はじめにという章において、何故村上氏が旅に出たのか説明がある。
元々は40という節目の年齢を迎えるにあたり、精神的な組み換え(村上氏の言葉)が行われる前に、何らかの仕事を残しておきたかったということで旅に出たとのこと。
でも、太鼓の音が聞こえて、旅に出たくなったということの方が自分にとっては説得力がある。

『ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。
ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音はひびいてきた。
とても微かに。
そしてその音を聞いているうちに、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ。』


1.小説の裏側
この2冊が日本で書かれていたら、多分かなり違った色彩を帯びたものになっていた
と本人も書いている。ヨーロッパに滞在していたからこそ、書かれた作品であり村上氏の思いも深く入っていったのであろう。


@ノルウェイの森の裏側
 シシリーのパレルモに 1ヶ月ぐらい滞在したときに、この小説の6合目まで当地で書かれた。マフィア、絶え間ない騒音、危険な車と外出もままならない環境で書き始めた。このような散歩もままならない環境で小説を書き続けるのは辛かったようである。冬の温かさも辛い原因だったようだ。次にローマに戻り、第一稿が完成する。第二稿が完成したところでノルウェイの森というタイトルが決まった。
この小説では死が特徴的である。「生は死の対極としてではなく、その一部として存在している」というテーゼが幾度となく引用されている。遠い太鼓の『午前3時50分の小さな死』という章
で、死について村上氏は語っている。小説を完成させる前に死ぬことを恐れている。朝キッチンでやかんに水を入れ、コーヒーを飲むために電気ヒーターのスイッチをオンにする。ここでさえ、彼は祈る。「お願いだから、僕をもう少し生かしておいて下さい。僕にはもう少し時間が必要なんです」この小説を書き上げるまでになんとか生かしておいてほしい、ただそれだけなのである。ここに村上氏のこの小説への思いが感じ取れる。やはり、このノルウェイの森は、熱くて深い思いがこめられた作品なんだ。

この章のラストのセンテンスが印象的だ。ノルウェイの森を象徴するかのようである。

「僕は小説を書くことによって、すこしづつ生の深みへと降りていく。
小さな梯子をつたって、僕は一歩また一歩と下降していく。でも、そのようにして生の中心に近づけば近づくほど、僕ははっきりと感じることになる。そのほんのわずかな先の暗闇の中で死もまた同時に激しいたかまりを見せていることを」  

Aダンスダンスダンスの裏側
 ローマのマローネさんの家(貸家)で書き上げられた。この家は日当たりが悪く、じめじめとした家だった。実際は12月17日から書き始めた。ダンスダンスダンスでは書き始める前にタイトルが
決まったようだ。このタイトルはビーチボーイズの曲から取ったと思われているようだが、本当
はザ・デルズという黒人バンドの古い曲からのようである。ノルウェイの森は村上氏にとって書いたことのないタイプの小説であったためあれこれ考えて書かれたようだが、ダンスダンスダンスは羊をめぐる冒険の続きということもあり、のびのびと好きに書いたようだ。この小説を書いていたローマの冬はとても厳しく、備え付けの暖房器具だけでは足りなくて、石油ヒーターまで買い込んで暖房したようだが、それでも部屋全体は終始ひやっとしていて、嫌な寒さだったようだ。
あまりにも寒いので、オーバーコートを着て机に向かい、ワープロのキーを叩き続けた。
そのせいで、ダンスダンスダンスの中にハワイのシーンが出てくるというのも、とても面白い。
寒さをしのぐために、ハワイを思い浮かべ、暖かくなれるような気がしたのだ。
熱帯の太陽の下に寝転んで、ピナ・コラーダを飲んでいるという文章を書くことで、暖まったのだ。
最終的に書き上げるのは、ロンドンである。

2.旅行記
 旅行記は遠い太鼓の中心を占めている。ここは是非、本を読んで楽しんでもらいたい。
ギリシャに始まり、ローマ、ヘルシンキ、ロンドン、オーストリアと訪れている。
各地での、ホテル事情、住居事情、レストラン、ランニング事情と興味はつきることがない。
ギリシャのクレタ島、ハルキ島など島事情も詳しい。僕が印象に残っているのは、イタリアのワインがおいしい、トスカナ、キャンティー地方だ。
小売はしていないけど、紹介されてワインを買いに行った、インノチェンティさんの家のワインが絶品なようだ。葡萄園の真ん中にあるホテル「雉鳩亭」には是非宿泊してみたい。

3.人間観察
バックパッカーから見る、国籍の見分け方が面白い。極端なイタリア人嫌いは別としても、ドイツ人、カナダ人、イギリス人などの見分け方が書かれている。村上氏はナンパな野郎が嫌いなのかな?
ドイツ人・・世界1旅行好き。タフな装備をしている

カナダ人・・世界1暇
オーストラリア人・・カナダに次いで暇そう
イギリス人・・・顔色が悪い
  
カナダ人やオーストラリア人はリュックをさげていて、国旗を縫い付けている。

北欧人はドイツからタフさをとって、空想的にした感じ

すばしっこそうで、皮肉っぽい顔つきがフランス人

イタリア人ってね。食べること、喋ること、女を口説くことを除けば、あまり一生懸命に何かをやるってことないんです。



おまけ

南ヨーロッパでランニングをすることの問題点  P224
愉快なイタリアの天気予報 p359



ラベル:村上 春樹
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風の歌を聴け 村上 春樹

村上春樹の小説は、いつも「聖書」を初めて読んだ時の気持ちを思い出させる。
うさんくさい。

取り澄ましたように整然と整った文書は
真っ白で綺麗に並べられたトイレットペーパーみたいだ。
何もかも悟りつくしたような文章は感情が少しも感じられない。

何より気に入らないのは、
村上春樹の書く女の人はみな「女」という記号―それも男性が抱く虚構の―でしかなくて、全部幻なんぢゃないかと思えてくる。

でも、「聖書」を心から信じているひとと同じように
村上春樹を「いい」と言うひとがたくさんいる以上
私もいつか「いい」と思えるんぢゃないかと思って
何冊も読んでみるけれど
毎回感じるのはうさんくささばかりだ。

高校生の頃読んだら何かしら違ったのかもしれない。
今は、やっぱり灰色。

でも、村上春樹を読んで「いい」と思える人は羨ましい。

この小説では、バーのマスターがちょっと好きだった。
主人公はいつも嫌い。

ラベル:村上 春樹
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ノルウェイの森〈上〉〈下〉村上 春樹

死は生の対局としてではなく、その一部として存在している。
この本を初めて読んだ頃の自分は死というものについて真剣に考えたことがありませんでした。
すごく遠い未来の出来事だと考えてました。

しかし死はもっと身近なものでした。
そして死というものを見つめて初めて生きるということが見えてきます。
死を身近に感じられない人間は真剣には生きることはできません。

死ぬことは尊くて生きることは卑しい。
そう錯覚してしまうくらいにこの本は純粋さに溢れてます。

この本を読み終えた後
ノルウェーの森が聴きたくなります。
グレート・ギャツビーを読みたくなります。
DUGを訪ねたくなります。

そして大切な人に会いたくなります。






ラベル:村上 春樹
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2008年06月15日

走ることについて語るときに僕の語ること 村上 春樹

嫌いだし遅いのに、走りを趣味とする友人の話を聞くたびに募る走りへの憧れ。
そんな時雑誌でこの本を知る。
図書館リクエスト5ヶ月待ち…

長距離走の性格上、エッセイにすると面白い。
主体は自分で、村上氏が俯瞰しているような。
そして手や足など筋に至るまで主体に対する脇役のような書き方なので、長距離走自体が一つの物語のようだった。
体の一部の擬人化は好きな表現。
走りは自分と体とのコンビで、孤独ではないのかもと思えた。

『死ぬまで18歳でいるためには18歳で死ぬしかない』という言葉がツボに入った!
こういうセンス好きだわ〜。
ラベル:村上 春樹
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2008年06月14日

雨の日も、晴れ男 水野 敬也

本屋で初めて見かけた作家さんですが、有名みたいですね。

バカ話です。
主人公アレックスは、上司に「君はクビだ」と言われれば、
混乱した頭でこう考えます。
「もしかして、クビではなくてチクビと言ったのかもしれない。ということは、私をわざわざ会議室に呼び出して、君は乳首だと告げていることになる。だとしたら私を吸いたいという告白なのだろうか。そもそも私は吸われたいのだろうか。否、吸われたくない。しかし・・・」
みたいな感じ。

その他どんな不幸が起こってもバカな妄想で乗り越えて行くアレックスを見ると、
前向きなら怖い物などないと思わせてくれます。

最後はほろっと来る真面目な場面もあります。
いい気分で読み終われました。

3、40分で読める。


ラベル:水野 敬也
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2008年06月12日

新装版 天璋院篤姫 宮尾 登美子

NHKの大河ドラマはチラッとしか観てないけど、同郷のよしみ?で読む気になりました。
今の時代に産まれていれば、篤姫の力は120%活かされるのではと思うほど、男時代の中でよくここまで大奥を
まとめたなと感心します。
そして、何度となくある困難を乗り越えていく様は立場が上になるにつれ対応の仕方も立派になり、とても20代とは思えない。
政略結婚と言われながらも、大奥に入ってからはそれを忘れさせるような人徳ぶり。
学ぶべき姿勢が多い1冊、そして宮尾さんってほんとにウマイ。



ラベル:宮尾 登美子
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シュナの旅  宮崎 駿

チベット民話を元に描かれた宮崎駿監督の名作。

ゲド戦記で、シュナの旅からいくつかシーンが出てたけど、もののけ姫、ナウシカ、ラピュタも感じられました。

短い絵本なのに、メッセージの深さが、さすが宮崎駿監督です。

あとがきに、「これをアニメーション化するのが夢だった」とあるけど、ぜひ実現してもらいたいな


ラベル:宮崎 駿
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夢をかなえるゾウ 水野 敬也

『『変わりたい』のに『変われない』』
そんな毎日を送る平凡なサラリーマン 僕の前にゾウの神様 ガネーシャが現れる。
関西弁を喋るうさん臭い神様は僕の心配をよそに
『心配は無用や』
『今回は『ガネーシャ式』やから』
と放ち僕に次々課題を出していく。
その課題が
『まっすぐ帰宅する』
とか…こんなんで成功できるのか?と思わせる内容で……!?


面白いです。
登場人物があまり居ないので読みやすい。

そんな難しいコトも書いていないので、あんまり本を読まない方でもスラスラ?読めると思います。

勉強になりました。
ガネーシャ面白いです。
神様だけあって説得力あります笑


夢をかなえるゾウの著者
水野 敬也(みずの・けいや)は
ベストセラー『ウケる技術』の著者でもあり
DVD作品『温厚な上司の怒らせ方』の企画構成・脚本などを手掛けていて、幅広い活動をしてらっしゃる方です。

退屈な毎日を送ってる方
自分を変えてみたい方
そんな方に刺激をくれる笑って読めてためになるそんな一冊だと思います。
オススメです。


ラベル:水野 敬也
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ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」 宮崎駿

全人類必読の書!生きるとはどいいうことか、人間だけじゃなく全ての命あるもの達へのメッセージ。
東アジア人の宮崎駿から見た西洋と、西洋から見たアジア観が混沌とした理解をもとに「ファンタジーとして」描かれてます。また宮崎駿が持つ博識がかった見識が個人という枠を越えることができるのか、果たして漫画というツールで本当の現実の世界を描くことが可能なのか...とにかく動機も含めて全てが矛盾し錯綜し混沌としています。

映画と漫画
現実とファンタジー
動機と挫折
漫画とその表現の枠
慈悲と破壊
個人と世界の闘争
生と死
そして 『光と闇』

命はなぜ生きるのか なぜ生きなければならないのか

ナウシカ自身が彼であり、そして最も遠い位置にあるのです。全てに、まさに全てに戦いを挑んでます。果たして彼はその戦いに勝つことができるのか...!?絶対読んで確かめてください

読み終わった後「今 世界は輝いている。」と思えるはずです。


ラベル:宮崎 駿
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2008年03月20日

宮城まり子が選ぶ吉行淳之介短編集 吉行 淳之介, 宮城 まり子

歌手、女優として活躍し、作家吉行淳之介氏の人生のパートナーでもあった宮城まり子さん。
吉行氏が逝って13年を経た今も、なお薄れない氏への愛。
本書は、そんな宮城さんが選んだ珠玉の作品集。

私のような吉行作品への入門者にとっては、
短編集なので、とても読みやすかったし、
恋人である宮城まり子さんが選んだ、という点も
興味をそそられた。

その中から、特に印象深い作品を挙げてみた。

「驟雨(しゅうう)」
娼婦道子に対する想いは、愛情ではない、と思っていたが、次第に独占出来ない苦しみと嫉妬に駆られてゆく主人公。

「寝台の舟」
女学校の教師をしている私は、酔った勢いで、見知らぬ女の部屋に行った。
だが、彼女は、男娼だった。
女になることを熱望するミサコ。
ミサコの気持ちに応えられないながらも、受け入れつつ、苛立ちも感じる私。

「鳥獣虫魚」
何もかもが石膏色に見える。時々逢瀬を交わす職場の女でさえも、普段は石膏色だ。
赤線地帯の女たち同様、人間の姿になるのは逢瀬の時だけである。
ある時、絵を描く女と出会う。初めから人間の姿をしている彼女。会っているだけで、心が安らぐ。
彼女には、身体に傷があった。

「風呂焚く男」
以前付き合っていた女が置いていった、白いぱんつの山を、一緒に住む女に知られず処分しようと、風呂を五右衛門風呂にすることを思いつく男。

「紫陽花」
B子と暮らして十年になる男。
ある日、C子と知り合う。
「庭に咲いてるあじさいをくださいな」というC子。
五年経って、三角関係に疲れた男は、C子と住み始めた。
咲かなかった紫陽花が一輪咲いた。


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2008年01月28日

有頂天家族 森見 登美彦

有頂天家族
ものすごくおもしろかったです。
森見作品おなじみ、舞台は京都。
下鴨神社糺ノ森に暮らしているのは、平安時代から続く狸の一族・下鴨家の、頼りない四兄弟と、海より深い愛を持つ母。
そして、恋煩いで腑抜け状態である天狗の赤玉先生、
赤玉先生の教えを受けたおそるべき美貌の人間・弁天、
かねてから犬猿の仲の狸・夷川家の夷川早雲、
その阿呆息子の金閣・銀閣などなどのキャラクターが
乙女に、腐れ大学生に、虎に、若旦那に化け、ドタバタドタバタ大活躍。
 
森見登見彦さんの作品は
「きつねのはなし」と「走れメロス」しか読んでなかったので、
こんな軽妙な文章が書ける方とは知りませんでした。
登場人物の会話もテンポが良く、理屈抜きで本当に楽しい。
狸のもこもこした毛玉風情も、想像すると笑えます。
 
「天狗は狸に説教を垂れ、狸は人間を化かし、人間は天狗を畏れ敬う。天狗は人間を拐かし、人間は狸を鍋にして、狸は天狗を罠にかける。この世界は三つ巴でグルグル巡る。」

コメディっぽい物語ですが、このあたりは真理かもしれません。
いつ食べられるかわからない狸たち、
それでもそんな恐怖などすっかり忘れて阿呆のように遊び呆けて
「面白きことは良きことなり!」
と叫ぶその姿がとっても痛快です。
弁天の「食べちゃいたいくらい好きなのだもの」って台詞も好きだなぁ。
ラストのすっきりした終わり方も気持ちよい。ほれぼれ。



ラベル:森見 登美彦
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2007年04月26日

風に舞いあがるビニールシート 森 絵都

風に舞いあがるビニールシート
直木賞受賞作品。
六つの短編集です。

ストーリーよりも、バックグラウンドが重視されているようで、重厚な知識で固められたテーマのせいで、ストーリー性が希薄になってしまっている印象を受けました。

よもすれば、学問でも読んでいるかのようです。

短編集なので、難しい点ですが、気分的にストーリー性の強いものが読みたかったので、知識に飢えている時に手にしていればまた違った印象だったのでしょう。

一番よかったのは、「守護神」です。

さまざまな知らなかった知識が身につく本ではありますが(特に「鐘の音」)、如何せん短編集なので、書ききれていない薄さは否めませんでした。

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

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2007年04月24日

つきのふね 森 絵都

つきのふね
いい本です。

おそらく人並み以上にヒネくれた高校時代を
送っていた自分にとっては
懐かしいような、恥ずかしいような、
忘れてしまいたいような気持ちを
思い出させてくれる本でした。

ツユキさんからの手紙のくだりは
電車の中で読んでたにもかかわらず
不覚にも涙ぐんじゃいました。
家だったらたぶん号泣してたな。

浅野いにおさんあたりの作画で
漫画化したら傑作になりそうな気もします。

森さんの作品を読むはまだ2作目ですが
丁寧な描写で好感が持てます。

「空気」を描くのが上手い作家さんだと思う。


つきのふね (角川文庫)

ラベル:森 絵都
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2007年04月20日

星々の舟 村山 由佳

星々の舟
第129回直木賞受賞作。

こんな言い方をはいかがなものかもしれない
けれど、村山由佳=不幸話を書く人、って思ってた。
この『星々の舟』もハッピーエンド的な話ではない。

6編の短編。1話ごとに家族の誰かをメインに据えて、
それぞれの話をリンクさせて家族を描いている。
2003年の直木賞作品。

この家族、まず父がいて、先妻が病気療養中、
家政婦として働いていたが死後、後妻として
やってきた母がいて。
長男と次男は先妻の子で、長女は後妻の連れ子で
次女だけが父と新しい母の間の子。
と、思っていたんだけど、実は長女は先妻が存命中に
父が家政婦に手をつけちゃってたというオチ。
で、次男とその長女が近親相姦。
で、家出するやつがいれば、自殺未遂をする者あり、
不倫しちゃう人もいて。
うわあ、この家族、終わっちゃってるorz

村山由佳作品、個人的にはあまり得意ではない
んだけど、この『星々の舟』は今まで読んだ中で
一番かも。
内容がこういう話なので、いい話だとは思わない
けれど、読みごたえはあるかと。
どの話も、はっきり白黒つけるような結末では
ないんだけど、でもそれもアリ、ってことで。

「幸福とは呼べぬ幸せもあるのかもしれない」
この一文が登場人物の過去と未来を、この作品の
すべてを語っているような気がする。


星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

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