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2009年09月17日

きのうの神さま 西川 美和

映画監督、西川美和。

『ヘビ苺』でデビュー。2作目の『ゆれる』でカンヌ、3作目の『ディアドクター』は公開されるや連日満員の大好評。
モントリオール映像祭に出品も決まっている。

自分で脚本を書き、自らメガフォンを握る。

もともと助監督上がりだから撮る絵が見えて本を書くのだろう。

完成した映画に制作意図がきちんと通る。

そういったブレない姿勢が作品の評価を高める要素であることは間違いない。



手元に彼女が書いた『きのうの神さま』という本がある。

この本は西川美和自身が僻地医療を取材して解った様々な問題点や僻村の老人達に必要な医療のありかたをストーリー仕立てで綴られている。

現実として僻村の高齢化は明らかだ。

高齢者はやはり病気がちになる。

そんな村の医者は大病院とは違った対応が求められる。

昼夜関係なく対応を迫られ、村人たちと濃い時間を持つようになる。

毎日が応用問題でズルズルべったりの関係の村民たちとオーダーメイドな医療以外のケアも日常的だ。

これを映画にした『ディアドクター』だ。


さて、『きのうの神様』

短編五本のオムニバス。

1話目『1983年のほたる』・・・・小学生高学年から高校三年生までの多感な時期の女の子の微妙な心情を綴った作品で主人公のオマセな女の子目線の描写が鋭い。
映画『ディアドクター』で井川遥が演じる女医、鳥飼りつの少女時代をイメージしている作品。


2話目『ありの行列』・・・・西川美和が取材で訪れた三重県の島で体験したことを基に書いた。

孤島の診療所に代診で派遣された医師が島の老人との触れ合いによって僻地医療のありかたを自問する内容で映画『ディアドクター』のヒントになったと思える作品。
映画の中で使われているセリフも出てくる。


3話目『ノミの愛情』・・・・腕ききで権威と呼ばれ、非の打ち所のない小児心臓外科医の元看護士の妻の話。

夫の地位や世間面を支える為に良妻を演じる自分の生活の価値に疑問を持ちながらも納得できる要素を探す様子とそんな家庭に降りかかった災難に対処する自分に自分の居場所を感じるエキセントリックな心の動きを書いている。
映画『ディアドクター』で余貴美子が演じた看護士『大竹』の神和田村の診療所に来る前のストーリーと思われる。


4話目『ディアドクター』・・・・医者の父を持つ兄弟の弟目線で書かれた、映画『ディアドクター』のアナザーストーリー。

映画の主人公、伊野が何故そうなったのか。その部分が納得できた。


5話目『満月の代弁者』・・・・僻村の診療所での任期満了で交代でやってきた医師を村人に紹介する形で、村の雑貨屋の老女と介護をする孫娘の抜き差しならない状況を医療としてどう対処するのか、医療者ではあるが医療の限界を超えた部分で人間としてどう接し、何を話すのかが綴られている。

ここで『ウソ』が登場する。



本作品は彼女の監督する映画でも感じる、人の心の隅に蠢く本人にも煩わしい感情をほじくり返し、自分が蓋をして気づかないふりで何年間もすごしてきた誰にでもあるような物事を白日のもとに晒し、結論付け難い問題を『さあ、どうする』と迫ってくるのである。

読者に負い目があれば胸元にナイフを突きつけられた感じがするだろう。


全編を読み終わり感じたこと。

世の中の様々な厄介なことがガチャガチャのボールの中に入っていて、それを片っ端から開けて部屋中に散らかし、読者はそれに振り回されるが、最後はグイグイ引き込まれ、強力なダイソンのサイクロン式クリーナーで吸い込むように渦を巻きながら心の中に全部ドスンと納まる。

そんな読み応えのある本であった。

これは彼女が撮る映画にも言えることだ。


映画『ディアドクター』をご覧になったかたには特にオススメです。

登場人物が背負っている背景がわかります。

先に本を読んだ人は映画も見てください。


きのうの神さま

タグ:西川 美和
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2009年09月03日

かもの法則 ―脳を変える究極の理論 西田 文郎

かもの法則

・私がこの本を書くのは、悩みを解決しようと悩むより、もっと簡単に幸せになる方法があると知っていただきたいからです。
 「かもの法則」という、バカらしいぐらい簡単な法則を理解すれば、どんな問題でもこれまでとは違った様相で見えてくるし、確実に違った未来が実現することをお伝えしたいのです。
 「否定的なかも」を「肯定的なかも」に置き換える−。
 それだけで間違いなく未来が違ってきます。
 …「かもの法則」を上手に利用すれば、自分の心を自由にコントロールできて、思いのままに操れる…
 未来をつくるのは私たちの心である。
(P.29〜30)

・[実行できないのは、もともと行動力がないのではない。
 「できないかも」「ダメかも」という予感が、実行力を奪っているだけ。]
 …根拠があろうとなかろうとかまいません。
 錯覚でも誤解でもいいのです。
 いったん抱いた予感を全力で実現しようとするのが私たちの脳です。
 そういう脳は、努力を惜しみません。
 なぜならそこに喜びの予感があるからです。
(P.86〜87)

・「なぜうまくいかないか」と、否定的な目で分析すれば、出てくるものは否定的な要素ばかりです。
 …しかし、「どうしたらうまくいくか」という肯定的な発想で考えれば、出てくるものは否定的な要素ではなく、未来的な発展的要素です。
 …何より重要なのは、
 「どうしたらうまくいくか」という問いは、うまくいく喜びを、脳に問いかけることになることです。
 [「なぜうまくいかないか」「なぜできないか」は、「どうしたらうまくいくか」「どうしたらできるか」の発想にチェンジする。]
(P.161〜162)

・[「もしかしたら、おれにもできるかも」と思えばいい。]
 …「できないかも」がひらめいたら、「違う。もしかしたらできるかも」に置き換えてみてください。
 もしかしたらできるかも−
 これを私は、悪い予感を打ち消し、良い予感をつくり出す「打ち消しがも」と呼んでいます。
 「打ち消しがも」を使えば、マイナス思考も簡単にプラス思考に変わります。
 マイナス思考を変えようとしたら容易なことでは変えられませんが、その根っこにある「かも」を変えれば、自然に変わってくれるのです。
(P.172〜173)

・不満のある者は感謝せよ。不満は感謝に追いつけない不安のある者は愛を持て。不安は愛に追いつけない
 悩みのある者は行動せよ。悩みは行動に追いつけない
 …悪い「かも」は、良い「かも」に追いつけません。
 だから人生は楽しく、悩みや苦しみがあっても生きることは面白いのです。
(P.217〜218)

変えるのが非常に難しく、過去の延長になってしまいがちな未来を、自分の望むような、願うようなものに変える方法が…
「かも」の法則です。

「かも」と言っても、鳥のカモではなく、
「できるかも」(肯定的)、「ダメかも」(否定的)と言った、
不確定な未来をあらわす助詞の「かも」。
この予感の「かも」が、
我々の未来を変える力を秘めているとしています。

愛という喜びが、他の喜びと違うところは、自分だけの喜びを超え、自分以外の人と喜びを分かち合いたいと思うところだということです。
私の「かも」ではなく、私たちの「かも」を飛ばす。
そこが自分一人の喜びを求める願望とは、決定的に違います。
自分一人ではないから、人は強くなります。
[「愛」という翼を持った「かも」が一番高く飛べる。]
(P.215)


かもの法則 ―脳を変える究極の理論

タグ:西田 文郎
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2009年08月07日

傷物語 西尾 維新

「こよみヴァンプ」
非常にのびのびと自由度満点で趣味全開で書いたという
コメントも頷ける、非常に生き生きとした面白い仕上がりでした。

音楽でも芸術でもなんでもそうだけど表現者が楽しんで
好きなように表現しているのって視聴者にも伝わるし
だからこそ媚びもなく、純粋に楽しめるものが出来ると思う。

暦くんが初めて怪異に行き逢った話。
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
という吸血鬼を助けたり不幸にしたりする話。
化物語でキスショットがどうなってしまうのかはわかっていたが
どういう経緯でああなったのか、という結末への回帰は
なんというか…惜しみなくBAD ENDでした。
清々しいくらいのBAD END。
強引なくらいのBAD END。

春休み目一杯使って時間の無駄をくりひろげる潔さ。
しかし暦くんは羽川さんという親友をゲットできるわけだし。
なんだかんだで収穫があったかもしれない。
人間強度は落ちたけど、力強い仲間を手に入れた。
被害者かと思われた怪異に逢った方なのに、意外と得るものが
大きかった彼。もちろん吸血鬼性質を完全に拭い去ることは
出来なくなったし、キスショットを背負い続けることになったが
これは自らが下した判断での結果だから仕方ない。
しかし、加害者であり人より優れた存在であるキスショットはどうだ
酷い有様じゃないですか!なんという恐ろしい結末!

退治もされない化け物なんて哀れすぎますね。
流石、西尾維新…。





傷物語 (講談社BOX)



タグ:西尾 維新
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2009年08月06日

偽物語(下) 西尾 維新

200%趣味っていうか200%雑談で出来てるよねこの小説!
つきひフェニックスというよりかこよみトークと言うか…。
よくもまぁ暦と誰かの馬鹿なやり取りだけでこれだけ書けるよね!
尊敬するよ西尾維新!!まさに才能の無駄遣い!!

タイトル通り月火をメインに考えるとこれって起承転結すら曖昧じゃね?
何がメインって火憐との馬鹿なやり取りだったり、八九寺との
相変わらずなやり取りだったりあと忍とのやり取りか。
月火とのやりとりより明らかに多かったぞこいつら!
起…生まれる前から始まってた&一応影縫らとの出会いになるのか?
承…傷が治ってるってフラグだけ?
転…影縫のターゲットは暦じゃなく月火だった。
結…屁理屈というか戯言で終了。

まぁともあれ本物偽物論は非常に面白かったです。
本物がなければ偽物は生まれない。
けれど本物は存在しなくたって、理想だけでそれに近づこうとする
偽物は生まれることが出来る。本物に近づこうとする努力って
偽物かもしれないけどその気持ちは本物だよね、みたいな。
決して偽物って悪くないよね、みたいな。
うーん奥が深い。


偽物語(下) (講談社BOX)


タグ:西尾 維新
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2009年08月05日

偽物語(上) 西尾 維新

物語におけるセカイ系っつーのはご存知かと思いますが
西尾維新作品、特に〜物語シリーズは作者とそれに共鳴した
ファン読者だけのセカイ系小説なのだと思います、きっとw

漫画っぽい展開なんだけど絶対文章じゃないと面白くない
そんな絶妙な言葉遊びというか言葉の冒涜みたいな連続です。

しかも同じ80年代で関西人だからか引用してくる元ネタの
理解度が高く、ツボにキまくりで、あるあるネタも懐かしネタも
ピンポイント過ぎて色々ヤヴァイですw

本当に趣味で書きすぎ。
仲のいい友達の作った小説を読んでるみたい。
しかもいつも出来を楽しみにしてるシリーズなんだ!みたいなw
これを「金を取る作品としては〜」と語るようになったら
きっともう西尾維新卒業なのかもしれないね。
いや、実際金取る作品なんだけどw
取られてると思い込んじゃいけないっていうかやっぱ友達感覚?
西尾維新からしたらいい迷惑w
だけどお前の続き楽しみにしてるぜ!みたいなw

ともあれ、ファンブックみたいなノリなので
今回の怪異物語としては全体的にお粗末。オチもしょうもない。
だけどメインはそこじゃなく、真宵とのトークだったり
神原とのトークだったり、ひたぎさんとのやり取りだったり
忍との仲直りだったり、火憐とのバトルだったり…他するわけです!

しかし、上下巻で次が来年とか言われたからぞっとしたけど
話自体は1巻完結なので安心設計。


偽物語(上) (講談社BOX)



タグ:西尾 維新
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2009年08月04日

化物語(下) 西尾 維新, VOFAN

笑って読め、としか言えない
繰り返し読んで笑ってる自分は単純ですか?そうですか
( ゚∀゚)カッハハハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

「怪異」と「日常」の境目ってどこなんでしょうね?
お呪い(まじない)って呪いと同じ字だよね?
恨みって知らずに買うことのほうが多いんですね
清廉潔白正々堂々
正しく生きていこう

キャラ同士の掛け合いがパワーアップしてる・・・
狙ってるとしか思えない台詞や行動
あえて言おう、最高だ!!

上巻の表紙になっていた彼女があまり話しに絡んできません
恐らく上巻で「怪異」から解放された彼女は「日常」を象徴且つ強調する存在になったのでしょう
そしてそれが主人公である彼の望みだったのでしょうか?



化物語(下) (講談社BOX)



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2009年08月03日

化物語(上) 西尾 維新, VOFAN

 購入してから少し時間が経ってしまいましたが、ようやく手にとって読んでみました。
 戯言シリーズも未読の僕は、これが西尾作品初体験。
 一体どれほどすごいのかとワクワクしながら読み始めてみると……

 21ページ目にして、口内にカッターナイフを突っ込まれました。

 しかも、その犯人は美少女。

 さらに畳み掛けるように、ホッチキスまで挿入。

 正直な話、ぽかーんとしてしまいました。
 主人公は何も悪いことをしていない――少なくともそのような仕打ちを受けることはしていない――というのに、一体全体何なんだこの女はと。
 僕は理不尽な暴力が嫌いです。すぐに癇癪を起こすようなツンデレキャラ(例:シャナ、ルイズ)も好きではありません。「とらドラ!」を読んだときは、大河の不法侵入+器物損壊にとても腹が立ったものです。
 もっとも、大河はその後の話で割と好きになれましたし、本書のカッター&ホッチキス女・戦場ヶ原ひたぎも、事情が明らかになるにつれて、まぁ許せなくもないくらいにはなったのですが。

 とにかく、会話が面白い。
 よくもまぁこうポンポンとテンポが良くて笑いを誘うボケとツッコミを思いつくものだと。
 しかも、全く飽きが来ない。
 くだらないギャグから知性の光る洒落まで、多種多様なネタが展開される。
 この会話だけでも十二分に一読の価値はありますね。

 加えて、題材が僕の好きな妖怪・化物の類であることもポイントが高い。
 文学作品からの引用や言霊思想に基づく発想など、感心させられることしきりでした。似たようなお話を考えているので、こういうところは見習いたいです。

 そして極めつけが小学生ヒロイン・八九寺真宵ですよ。
 丁寧口調、ズレた言動、そしてロリ。
 僕のツボを完璧に押さえている。恐るべし西尾維新。
 もう、彼女の存在だけで大満足です。

 カタルシスが少し足りないと感じましたが、総合すると☆は5つ。
 早く下巻も読むことにします。


化物語(上) (講談社BOX)





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2009年08月02日

神様のカルテ 夏川 草介

舞台は信州松本、医師不足に悩まされる365日24時間受付可能の病院。
主人公は夏目漱石の『草枕』が愛読書の変人医師。
だけれどもその変人が自分の体調を顧みずに患者の為に40時間ぶっ通しで働いたりする姿がとても素敵なのです。

夏の星空、秋の夕暮れ、冬の雪景色。
信州の季節の移り変わりの表現感覚が秀逸だと思いました。

地域医療を支えてるお医者さまや看護師さんたちに、
あらためて感謝の気持ちを篤くしました。

「こいつは敗北ではない、門出だぞ、学士殿!」


神様のカルテ



タグ:夏川 草介
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2009年04月27日

さくら 西 加奈子

一言でどういう話か表せない話。
主題がありすぎて
作者のいろんなメッセージが詰まってて。

現代人の孤独
家族愛
世間vs個性(individuality)
etc

世界には様々な人がいるし
愛にもいろんな形があるし
there is no such thing as "normal"
そんなことを
いまさらだけど、改めて考えさせられた

日本という国での世間の目は
ほんとに恐ろしい
異邦人を受け付けない冷たさにおいては、世界一では?

この作品、ちょっと漱石の『こころ』に似てて
少しheavyだけど
サクラの存在が良い感じに中和してる感じ。

全体的には好きな作品♪
この作家さんの文章&メッセージ、どんぴしゃ!


さくら (小学館文庫)

タグ:西 加奈子
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2009年03月25日

猛スピードで母は 長嶋 有

なんとなく本屋でタイトルに惹かれて
手に取った一冊。

表題作の他に、映画化された「サイドカーに犬」も収録。

文章があっさりしていて、そのさらさらした感じが心地よかった。
映画はみていないけれど、このさらさら感をどうやって映画にするんだろう、と思う。
と、同時に映画にしたくなる気持ちがわかる気もする。あっさり簡潔な文だけど、絵になるエピソードがいいところに散らばっているのだ。

大事件、にしようと思えばできるのかもしれない。けれど、そんな一つひとつを日常のワンシーンとして切り取っている。
どちらの話も、当人たちにとって、ただの現実。

心にかかる描写がうまい。

確実に好きな作家さんの一人になりそうな予感。


タグ:長嶋 有
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