普段は小説を書く立場である著者が読む立場になり、小説を読み解いていく。
『村上春樹』の小説ではみれない彼の一面、小説に対する彼の考え方、ディセンシー、そういったものが心地よく伝わってくる本だと僕は思います。
デビュー作を書こうと思った理由そこで用いた方法なども書かれていて、ファンにとっては非常に興味深い一冊です。
もちろん紹介されている作家の小説にも興味をそそられます。よし今度、この作家の本を読んでみるかという気になる。
僕が最も心引かれたのは、安岡章太郎の「ガラスの靴」の解説です。
吉行淳之介、小島信夫、安岡章太郎、庄野潤三、丸谷才一、長谷川四郎の短編小説を解説。
・「僕」は現実を離れた恋人に惹かれ、彼女を追いかけている。追いかけないわけにはいかない。しかし、僕が彼女に追いついてしまえば、僕は彼女を現実化してしまうことになる。現実化された彼女は、僕の求めるべき彼女ではない。しかし、僕がひとたび彼女に追いかけるのをやめたら、今度は現実が単純に僕に追いついてしまう。
・女としてコケティッシュに阿(おもね)り、妻のように従い、母のように支配し、赦し、受け入れる。
女性に対してのまなざしが鋭い。男は、女を支配したと思いがちだけど、本当は女に支配されてるのかもよ?

若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)
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