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2009年04月28日

告白 町田 康

明治26年に実際に起こった虐殺事件を題材に主犯格である城戸熊太郎の心の告白を主観客観作者の視点織り交ぜ800ページにわたって具に、執拗なまでに描き出されている町田康文学の集大成ともいえる作品。

どうしてかくも残酷な事件を起こすに至ったのか。それは彼の極端なまでの思弁癖が原因である。周りの人間のように思ったことをそのまま口にすることができない。河内弁で言い表すことのできない自らの内でぐちゃぐちゃしているこの言語は一体何だ?何だ何だ、どうして俺だけこんなことを考えているその思弁が熊太郎をどんどん虚無の中に追い込んでいく。内側の闇を通してしか世間と関われなかった。世界と自分の言語が合一した時は死ぬときだと悟った。

熊太郎は殊更暴力というものを厭悪した。嘘を嫌った。馬鹿で、正直な気のいい男だ。罪を重ねてしまう自分が嫌で許されたいと願い続けた。罰を受けるのを怖がった。それなのに・・・・
どうして人を殺すのか。恋の恨み、金の恨み、むかついたから・・・・全然違う、そうじゃない。最後まで熊太郎は口に出して語ることはできないが、すべて、ここには書かれている。


外側との乖離を感じ続け、人を殺すべくしてしか生きられなかった男の、切ない、内臓抉られるような告白である。

『人はなぜ人を殺すのか』


告白 (中公文庫)



ラベル:町田 康
posted by クロルデン at 15:24 | TrackBack(0) | ま行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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