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2008年06月12日

マンガ蟹工船―30分で読める…大学生のための 小林 多喜二

漫画自体はあまり悪くない。
 作画能力に関しては、確実に上手の部類に入ると思われる。
 一部の重要シーンが省略されているが、これも漫画化の際にはよくあることである。漫画と小説というメディアの違いを無視して原作に過度に忠実であるよりは余程良い。
 漫画の部分に関して批判したい箇所は、監督の書いた貼紙に誤字がなく、しかも新字体で書かれていたコマぐらいのものである。これは原作の無意味な改変であろう。漫画だからこそ出来る表現を殺してしまっており、時代考証の面においても穴がある。

 私が本当に糾弾したい第一の問題は、書名である。「大学生のための」という部分には、二重の差別がある。
 まず漫画への差別がある。如何なる文豪も文字では決して表現しきれないが漫画でなら普通の漫画家でも伝えられるメッセージというものも、確実に存在するはずだ。原作を読みこなせる大人が蟹工船の漫画を読んだり映画を観たりして何が悪いのかと思う。
 そして大学生差別でもある。ゆとり教育で育った大学生は労働者と違ってまだ子供だから漫画しか読めないだろうとでも言いたいのだろうか?

 第二に糾弾したい問題は、注釈についてである。
 注釈の中には、どう見ても義務教育を履修した者なら誰でも知っている程度の語彙の解説もあり、前述の大学生差別の疑いを一層濃厚にしている。
 それだけならまだ良い。偶然本書を手にした早熟な小中学生の役には立つであろうからだ。
 しかし120ページの【お釈迦様】の注釈に至っては、ふざけているとしか思えない。これに関しては、実際に自分の目で確かめていただきたい。





ラベル:小林 多喜二
posted by クロルデン at 08:45 | TrackBack(0) | か行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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